熱傷および形成外科病棟の病院用プライバシーカーテンの汚染率:横断的研究★★

2017.05.31

Rate of contamination of hospital privacy curtains on a burns and plastic surgery ward: a cross-sectional study


K. Shek*, R. Patidar, Z. Kohja, S. Liu, J.P. Gawaziuk, M. Gawthrop, A. Kumar, S. Logsetty
*University of Manitoba, Canada
Journal of Hospital Infection (2017) 96, 54-58
背景
患者環境における表面は、それらに細菌が定着した場合、微生物伝播に役割を果たしている可能性がある。患者用プライバシーカーテンは、高頻度接触表面であること、洗浄の頻度が低いこと、医療従事者はカーテンなどの無生物表面に接触した後は手洗いしない傾向があることから伝播の高いリスクをもたらす可能性がある表面の一つである。
目的
地域熱傷/形成外科病棟において患者用プライバシーカーテンの細菌定着の量および種類を明らかにすること。
方法
熱傷/形成外科病棟で患者用プライバシーカーテンの細菌汚染を、6 か月の間隔で2 回に分けて調査をした。2015 年 8 月にカーテン 23 枚、2016 年 1 月にカーテン 26 枚を調査した。Dey-Engley 中和寒天ロダックコンタクトプレートを用いて、接触が最も頻繁なカーテンの外縁付近から試料を毎日採取した。微生物汚染は cfu/cm2 として報告し、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)の存在を判定した。病棟で開放創および気管切開部位のスワブも採取した。
結果
カーテン汚染は、2015 年 8 月には 0.7 ~ 4.7 cfu/cm2、MRSA 陽性は 22%であったが、2016 年 1 月には 0.6 ~ 13.3 cfu/cm2、MRSA 陽性は 31%であった。
結論
熱傷/形成外科病棟のカーテンには相当量の細菌が定着している。洗浄プロトコールをさらに的確に伝えるために、定着率およびこの定着による臨床での影響を検討する今後の研究が必要である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
カーテン汚染は多床室の多い日本の病院では非常に気になるところである。20 ~ 30%のカーテンが MRSA で汚染されているという事実は「やはり」というべきだろうか。日本でもカーテンの交換頻度は年に 1 回という施設もあるが、カーテン汚染が医療関連感染症に与える影響について今一度検討すべきであろう。なお日本でも 1997 年の環境感染誌に「MRSA 隔離室 6 室のうち 2 室(33%)で濃厚な MRSA 汚染が認められた」と報告されている(1)
1. 石金恵子、境美代子、村藤頼子ほか。細菌汚染調査からみた病室カーテンの適正交換頻度について。環境感染 1997;12(3):177-180.

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