菌血症のコホートにおいて尿道留置カテーテルの存在は重症敗血症を予測するか?★
Does the presence of a urinary catheter predict severe sepsis in a bacteraemic cohort?
M. Melzer*, C. Welch
*Royal London Hospital, UK
Journal of Hospital Infection (2017) 95, 376-382
背景
敗血症は死亡の主要な原因の 1 つであり、英国では毎年 37,000 例が死亡すると推定される。本研究の目的は、菌血症のコホートで、重症敗血症を予測しうる宿主要因を明らかにすることであった。
方法
2012 年 12月から 2013 年 11 月までの間に、ロンドンの教育病院で、連続した菌血症患者の人口統計学的、臨床的、および微生物学的データを収集した。これらのデータは、重症敗血症患者と非重症敗血症患者の分類に使用した。多変量ロジスティック回帰を用いて、宿主要因と重症敗血症の関連を検討した。
結果
患者 500 例で 594 件の菌血症エピソードが発生した。これらの大多数は、50 歳を超える患者(594 件中 382 件、64.3%)および男性(594 件中 346 件、58.2%)で生じた。最も多く分離されたのは、大腸菌(Escherichia coli)(594 件中 207 件、34.8%)およびメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(594 件中 57 件、9.6%)であった。ロジスティック回帰多変量解析では、感染の部位が重症敗血症と有意に関連した。カテーテル関連尿路感染症は、年齢、性別、Charlson 併存疾患指数、および感染を受けた場所で調整後も、関連が有意であった(オッズ比 3.94、95%信頼区間 1.70 ~ 9.11)。
結論
尿道留置カテーテルは重症敗血症のリスクを増加させる。これらのカテーテルは臨床的に適応となる場合に限り使用すべきである。カテーテルを挿入した場合はケアバンドルによるアプローチをとるべきであり、長期型カテーテルが必要な場合を除き、抜去予定日を記録すべきである。敗血症との関連において、尿道留置カテーテルが存在する場合は「Sepsis Six」を速やかに実践し、集中治療室への移送を考慮すべきである。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
英国ロンドンの教育病院で 1 年間に発生した敗血症事例の解析である。敗血症の 35%から大腸菌が検出されており、尿道留置カテーテルが重症敗血症のリスクであることを明確にした論文である。考察に出てくる「Sepsis Six」は、敗血症と診断したら 1 時間以内に実施する 6 項目からなる生命予後改善のためのバンドルである。
参考:「Improving outcomes for patients with sepsis」NHS England
https://www.england.nhs.uk/wp-content/uploads/2015/08/Sepsis-Action-Plan-23.12.15-v1.pdf
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