南部ポーランドにおける非教育地域病院 12 施設の入院患者の異なる種類の感染から分離されたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)株の分子的解析
Molecular analysis of meticillin-resistant Staphylococcus aureus strains isolated from different types of infections from patients hospitalized in 12 regional, non-teaching hospitals in southern Poland
A. Chmielarczyk*, M. Pomorska-Wesołowska, A. Szczypta, D. Romaniszyn, M. Pobiega, J. Wójkowska-Mach
*Jagiellonian University Medical College, Poland
Journal of Hospital Infection (2017) 95, 259-267
背景
これまでに蓄積されたデータから、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)による感染は、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌による感染よりも予後が不良であることが示唆される。
目的
南部ポーランドの 12 の病院における黄色ブドウ球菌感染の疫学的プロファイルおよび MRSA 臨床株の遺伝的多様性を評価すること。
方法
成人患者に生じた血流感染、肺炎、および皮膚・軟部組織感染症からのサンプルを調べた。黄色ブドウ球菌分離株について、MRSA 表現型と、マクロライド系、リンコサミド系、およびストレプトグラミン B 抗生物質(macrolide-lincosamide-streptogramin B;MLSB)表現型を解析した。ブドウ球菌カセット染色体mec タイピング(Staphylococcal cassette chromosome mec;SCCmec)およびブドウ球菌プロテイン A(S. aureus protein A;spa)タイピングを実施した。遺伝的相同性をパルスフィールド・ゲル電気泳動により分析した。
結果
この研究には 555 例の患者が含められた。MRSA 表現型は、分離株の 15.1%で検出された。MRSA 感染の有病率は、80 歳を超える患者で高かった。MLSB 表現型は、分離株の 18.2%で検出された。SmaI 切断パターンの解析では優勢クローンは認められなかった。spa タイピングでは 25 の異なる spa 型が認められ、spa 型 t003 が最も多かった(分離株の 49%)。MRSA 株では、SCCmecII 型および SCCmecIV 型が優勢であった(それぞれ 49%、27.4%)。
結論
MRSA 分離株の特徴には相当の不均一性がみられた。今回の結果は、分離株間の直接的な疫学的関連性について、単一のタイピング法に基づいて判断を下す場合には、注意が必要であることを示している。本研究における感染症例は、病院環境および水平伝播に関連したものではなかったことから、入院時スクリーニングへの重点的な取り組みや、適切な感染制御が、MRSA 感染のリスクの低減に役立つかもしれない。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
地域の複数の医療機関の臨床検体を解析することは、感染伝播のリスクを評価するために役立つと思われる。
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