カテーテル関連尿路感染症予防における外尿道口洗浄に用いる生体消毒薬の効果のシステマティックレビューとメタアナリシス★
Systematic review and meta-analysis of the effectiveness of antiseptic agents for meatal cleaning in the prevention of catheter-associated urinary tract infections
O. Fasugba*, J. Koerner, B.G. Mitchell, A. Gardner
*Australian Catholic University, Australia
Journal of Hospital Infection (2017) 95, 233-242
背景
カテーテル関連尿路感染症(CAUTI)は、最も多くみられる医療関連感染症の一つである。カテーテル使用前および使用中の生体消毒薬による外尿道口部の洗浄は CAUTI のリスクを低下させる可能性がある。
目的
尿道カテーテル挿入前と使用中の生体消毒薬による洗浄の効果を調査した試験に関する文献のシステマティックレビューとメタアナリシスを行うこと。
方法
電子データベースを検索し、ランダム化対照試験を特定した。統合オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出し、DerSimonian-Laird ランダム効果モデルを用いて介入群および対照群全体を比較した。サブグループ解析を実施した。I2 統計量を用いて異質性を推定した。
結果
対象となりうる論文を合計で 2,665 報特定した。これらのうち 14 報が対象として適格であった。消毒薬使用群と消毒薬非使用群を比較した場合、CAUTI 発生率に差はなく(統合 OR 0.90、95% CI 0.73 ~ 1.10、P = 0.31)、または様々な薬剤を比較した場合(ポビドンヨード 対 日常的なケア、ポビドンヨード 対 石けんと水、クロルヘキシジン 対 水、ポビドンヨード 対 生理食塩液、ポビドンヨード 対 水、緑石けんと水 対 日常的なケア)、CAUTI 発生率に差はなかった(すべての比較について P > 0.05)。抗菌薬と日常的なケアとの比較では、統計学的有意性に近い結果が示された(P = 0.06)。異質性のエビデンスはなかった(I2 = 0%、P > 0.05)。サブグループ解析では、国、医療施設、バイアスのリスク、性別、使用頻度の点で、CAUTI 発生率に差は認められなかった。
結論
CAUTI 率に有意差は認められなかったが、方法論的問題が、本結果の一般化の可能性を妨げている。抗菌薬は、適切に実施された試験で有意性を示す可能性がある。今回の結果は、カテーテル管理での感染管理ガイドラインに情報として良好なエビデンスを提供する。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
消毒薬の使用という基準で比較しているが、消毒手順に関して正確な遵守が行われていたかどうかなど研究デザインにおける影響も考慮する必要がある。一方で低水準消毒薬は綿球を用いた場合、綿の蛋白質と結合し、速やかに薬液中濃度が低下することが知られておりこの点に関しても影響を考慮する必要がありそうだ。
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