2015 年、韓国における中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)アウトブレイク:疫学、臨床的特徴および公衆衛生上の予測★★

2017.02.28
☆

Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) outbreak in South Korea, 2015: epidemiology, characteristics and public health implications


K.H. Kim*, T.E. Tandi, J.W. Choi, J.M. Moon, M.S. Kim
*Korea University, Korea
Journal of Hospital Infection (2017) 95, 207-213
背景
2015 年 5 月 20 日に韓国において中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルス(CoV)の初発症例が報告されて以来、186 例の確定症例、38 例の死亡例、および16,752 例の疑い症例が認められている。以前に韓国の MERS アウトブレイクに関して発表された調査は、利用可能なデータがほとんどなかった早期段階に限られていた。アウトブレイクが終了した現在、非公式にではあれ、より包括的なレビューを行うことは適切である。
方法
韓国保健福祉部および韓国疾病対策センターが運営する MERS ポータル、ならびに韓国保健福祉部による報道発表および韓国医師会の MERS 対策委員会による報告からデータを得た。症例について、全般的な特徴、曝露源、時間経過および感染の発生状況を分析した。38 例の死亡例について、性別、年齢および基礎疾患を分析した。
結果
28 例への感染をもたらした初発症例から始めて、詳細な分析を行った。平均年齢は 55 歳で、世界的な平均である 50 歳よりわずかに高かった。他のほとんどの国と同様に、患者は男性の方が女性よりも多かった。症例致死率は 19.9%で、世界的な症例致死率の 38.7%およびサウジアラビアにおける 36.5%より低かった。合計で 184 例が院内感染であり、市中感染症例はいなかった。主な基礎疾患は、呼吸器疾患、悪性腫瘍および高血圧であった。アウトブレイクの主要な寄与因子は、診断が遅かったこと、「スーパースプレッダー」を隔離できなかったこと、家族によるケアや訪問、患者が自身の感染を明かさなかったこと、韓国政府の情報提供不足、病院の不適切な感染管理、および「ドクターショッピング」であった。このアウトブレイクは全体的に院内感染によるものであり、生物医学的な要因ではなく、主として感染管理および方針の不備に起因していた。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
韓国における中東呼吸器症候群の集団発生はいまだ記憶に新しいが、本報告はその疫学、臨床的特徴、感染対策に関する総括したものとして、貴重なものである。ご一読をお勧めする。

同カテゴリの記事

2010.01.31
☆

Two-step glutamate dehydrogenase antigen real-time polymerase chain reaction assay for detection of toxigenic Clostridium difficile

2018.05.31
☆

Validation of healthcare-associated infection surveillance in smaller Australian hospitals

2020.06.30
☆

Support of nursing homes in infection management varies by US State Departments of Health
R. Dorritie*, D.D. Quigley, M. Agarwal, A. Tark, A. Dick, P.W. Stone
*Helene Fuld College of Nursing, USA
Journal of Hospital Infection (2020) 105, 258-264

2010.04.11
☆

Short course antibiotic therapy for Gram-negative hospital-acquired pneumonia in the critically ill

2009.11.30
☆

Suffering from meticillin-resistant Staphylococcus aureus: experiences and understandings of colonization