心臓手術を受ける患者における術前のオクテニジン鼻軟膏およびシャワーが手術部位感染に及ぼす影響★

2017.02.28

Effect of pre-operative octenidine nasal ointment and showering on surgical site infections in patients undergoing cardiac surgery


M. Reiser*, A. Scherag, C. Forstner, F.M. Brunkhorst, S. Harbarth, T. Doenst, M.W. Pletz, S. Hagel
*Jena University Hospital, Germany
Journal of Hospital Infection (2017) 95, 137-143
目的
術前のオクテニジンによる除菌が手術部位感染(SSI)発生率に及ぼす影響を評価すること。
デザイン
前後比較コホート研究。
患者
待機的摘出冠動脈バイパス術を受ける患者:対照群(2013 年 1 月 1 日から 12 月 31 日)475 例、介入群(2014 年 1 月 1 日から 12 月 31 日)428 例。
介入
介入として、オクテニジン軟膏の鼻腔内への塗布を手術前日から 1 日 3 回行い、オクテニジン石けんを用いたシャワーを手術の前夜および当日に行う。
結果
胸骨正中切開術は 805 例(89.1%)で、低侵襲冠状動脈バイパス術は 98 例(10.9%)で実施された。全体で、対照群と介入群で SSI 発生率に差はみられなかった(15.4%対 13.3%、P = 0.39)。採取部位の SSI 発生率は、介入群の患者のほうが有意に低かった(2.5%対 0.5%、P = 0.01)。胸骨正中切開術を受けた患者において、臓器/体腔の胸骨 SSI 発生率は介入群のほうが有意に低かった(1.9%対 0.3%、P = 0.04)。しかし、深部切開創の胸骨 SSI 発生率の増加傾向がみられた(1.2%対 2.9%、P = 0.08)。多変量解析から、介入による有意な保護効果は認められなかった(オッズ比 0.79、95%信頼区間 0.53 ~ 1.15、P = 0.27)。
結論
待機的摘出冠動脈バイパス術を受けた患者において、オクテニジンを用いた術前の除菌により、全般的な SSI 発生率は低下しなかったが、採取部位および臓器/体腔の胸骨 SSI は有意に低下した。患者の介入へのアドヒアランスのコントロールを含むランダム化対照試験において、これらの観察を確認し、術前の除菌におけるオクテニジンの臨床的有用性を検討する必要がある。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
オクテニジンによる除菌処置のスキルのバラツキがひょっとしてアウトカムに影響しているかも知れない。こうした粘膜・表皮における除菌処置については処置のプロセスにも留意して評価する必要がある。

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