手指衛生実施中の観察と研究の影響:方法の再考

2017.02.28

Impact of observing hand hygiene in practice and research: a methodological reconsideration


D.J. Gould*, S. Creedon, A. Jeanes, N.S. Drey, J. Chudleigh, D. Moralejo
*Cardiff University, UK
Journal of Hospital Infection (2017) 95, 169-174
手指衛生の目的は医療関連感染の連鎖を断つことである。多くの国で、手指衛生は、世界保健機関の推奨に基づき品質保証の一環として定期的に監査されている。推奨される監査法は直接的観察であるが、観察されて普段の行動を変える可能性などのデメリットと関連している。手指衛生と関連する Hawthorne 効果(観察されているという影響)は、手指衛生を行う頻度を高めることによる生産性向上と似ている。Unobtrusive observation および頻繁な観察またはそのいずれかを実施してスタッフを観察者の存在に慣れさせることは、Hawthorne 効果を低下させる方法として容認できると考えられるが、こうした手法の実施法やその効果の検討法を考察した文献はほとんどない。見られていることを意識することで、単純な生産性効果以外に複雑な予想のつかない形で人の普段の行動が乱されうるというエビデンスがある。監査者が存在すると医療従事者は手指衛生を要する行動をあとまわしにしたり回避したりする可能性があるが、こうした問題は実践ガイドラインや調査研究では取り組まれていない。この監視は、手指衛生監査の結果の妥当性に影響する。手指衛生用品の使用量を測定することで回避戦術を克服できる。測定によって、安価に、患者ケアを妨げることなく臨床家すべての遵守を継続的に評価するデータを得られる。デメリットとして、こぼすこと、むだづかいすること、面会者や患者ケア区域に入った臨床以外のスタッフが使用することで使用量を過大に見積もるリスクがある。電子機器によって Hawthorne 効果および回避効果を克服できる可能性はあるが、費用がかかり調査研究以外の場面では広く使用されていない。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
本稿は手指衛生の遵守率調査に関する総説(レビュー)である。直接観察、使用量、電子的自動モニタリングなどのメリット、デメリットが最新の文献に基づきレビューされているが、その中でも特に Hawthorne 効果について詳しく言及されている。これから手指衛生の研究や直接観察法を始めようとする人には必読である。

同カテゴリの記事

2021.02.28

Identification of Streptococcus pneumoniae in hospital-acquired pneumonia in adults

J.A. Suaya*, M.A. Fletcher, L. Georgalis, A.G. Arguedas, J.M. McLaughlin, G. Ferreira , C. Theilacker, B.D. Gessner, T. Verstraeten
*Pfizer Inc., USA

Journal of Hospital Infection (2021) 108, 146-157

2018.03.31

Estimating the incidence and 30-day all-cause mortality rate of Escherichia coli bacteraemia in England by 2020/21

2020.11.30

Spontaneous decolonization during hospitalization in intensive care unit patients colonized by extended-spectrum beta-lactamase-producing Enterobacterales
C. Duployez*, F. Wallet, A. Rouzé, S. Nseir, E. Kipnis, A. El Kalioubie, R. Dessein, C. Loïez, R. Le Guern
*University of Lille, France
Journal of Hospital Infection (2020) 106, 500-503

2016.10.31

Effect of two-step hygiene management on the prevention of nosocomial influenza in a season with high influenza activity

2008.12.30

Changing epidemiology of meticillin-resistant S. aureus in Queensland, Australia, 2000-2006: use of passive surveillance of susceptibility phenotypes