Bacillus 属菌の偽性アウトブレイク:建設工事と巻き添え被害★

2017.01.31

Bacillus species pseudo-outbreak: construction works and collateral damage


L. Boix-Palop*, C. Nicolás, M. Xercavins, M. Riera, N. Prim, N. Freixas, J. Pérez, E. Calbo
*Hospital Universitari Mútua Terasa, Spain
Journal of Hospital Infection (2017) 95, 118-122
救急部における建設工事に伴う Bacillus 属菌菌血症の偽性アウトブレイクの調査と制御について報告する。偽性アウトブレイク期間中、血液培養検査 3,469 件中 59 件(1.7%)から Bacillus 属菌が検出されたが、2012 年には 7,628 件中 24 件(0.31%)であった。救急部で使用されていた物品やその表面、さらに空気からBacillus 属菌を培養でき、環境が広く汚染されていたことが判明した。菌血症例は、感染対策の実施および建設終了後に急速に減少した。救急部における建設工事によって生じた環境汚染が、Bacillus 菌血症の偽性アウトブレイクを引き起こした可能性が高い。建設作業に伴うバリアーを正しく、有効に設置していないと、病院環境で患者および医療従事者が危険に曝されるのみならず、偽性アウトブレイクを起こしてしまいかねない。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
Bacillus 属菌は環境にあまねく存在し、特に塵埃が飛ぶ、巻き起こるような環境では、空中に浮遊しやすい。本事例では、建設工事によって広範囲に飛散したBacillus 属菌が環境を汚染し、さらに医療材料も汚染したことで、偽性アウトブレイクを生じた可能性が高い。いわゆる養生など、工事の際のバリアーを確実に行うことで、飛散をできる限り少なくする努力が求められる。

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