急性期施設におけるカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌によるアウトブレイクの制御:エビデンスのレビュー★
Control of carbapenemase-producing Enterobacteriaceae outbreaks in acute settings: an evidence review
C.E. French*, C. Coope, L. Conway, J.P.T. Higgins, J. McCulloch, G. Okoli, B.C. Patel, I. Oliver
*University of Bristol, UK
Journal of Hospital Infection (2017) 95, 3-45
背景
近年、カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)による感染症が世界的に増加しており、公衆衛生上の重大な課題となっている。
目的
国際的な文献レビューを行い、(i)世界の急性期病院における CPE によるアウトブレイクを記述すること、および(ii)これらのアウトブレイク時に用いられた制御策を同定し、それらの有効性について報告すること。
方法
2000 年から 2015 年を対象に、MEDLINE および EMBASE データベース、主要な学会会議の抄録集および主要なレビューの参考文献リストの系統的検索を行い、未発表のアウトブレイクに関する情報を探した。関連がある場合、Newcastle-Ottawa スケールを用いてバイアスのリスクを評価した。エビデンスのナラティブ統合を実施した。
結果
98 件のアウトブレイクが条件に適合した。CPE によるアウトブレイクは世界的に発生しており、53 件の報告は欧州からのものであった。アウトブレイクにおける症例(CPE 感染または保菌)の数には大きなばらつきがあり、2 例から 803 例の範囲であった。大部分のアウトブレイクでは、複数要素から成る感染制御策が用いられ、多くの場合以下のものが含まれていた:患者スクリーニング、接触予防策(例、ガウン、手袋の着用)、手指洗浄介入、スタッフの教育または監視、環境の清掃/汚染除去の強化、患者および/またはスタッフのコホーティング、ならびに患者の隔離。制御策の有効性について入手可能な最適なエビデンスを提供しているものとして、7 件の研究を同定した。これらの研究は、一連の適切、かつ一般的に用いられる感染制御策を用いて、CPE アウトブレイクを十分に制御できることを実証していた。しかし、これらの研究では、バイアスのリスクが比較的高いと考えられた。
結論
これらの結果は、既存の方策の組合せを用いて CPE アウトブレイクが制御可能であることを示している。しかし、エビデンスの基盤の質が弱く、特に個々の感染制御策の有効性に関して、さらなる質の高い研究が必要とされる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
ナラティブ統合(narrative synthesis)は個々の研究の結果を統合する手法の一つである。メタ分析ができない場合に用いられる。CPE の問題点は、保菌者の迅速な検査室診断にあり今後我が国でも大きな問題となるであろう。
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