中国の 3 次病院における診断検査欠如によるクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)関連の臨床的負荷
Clostridium difficile-associated clinical burden from lack of diagnostic testing in a Chinese tertiary hospital
D. Zhang*, J. Chen, H. Zhan, Y. Huang, S. Chen, F. Law, W. Ba-Thein
*Second Affiliated Hospital of Shantou University Medical College, P.R. China
Journal of Hospital Infection (2016) 94, 386-388
クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症(CDI)は世界中の病院でよくみられる下痢の原因であるにもかかわらず、中国のほとんどの病院では検査も利用できず、管理ガイドラインもない。この 2 年間の前向き研究では、水様下痢患者 276 例のうち CDI の占める割合は 23.1%であった。CDI の検査ができないことで、患者の 26.4%では不適切な管理が行われ、隔離予防策がなされずに院内伝播のリスクが増加していた。さらに症候性の毒素産生性 C. difficile 保菌者を退院させることによって、市中伝播のリスクを増やすことにもつながっていた。最新のエビデンスに基づいた診療ガイドラインの更新と CDI の診断検査の採用を、中国の病院においても推奨したい。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
中国の病院における CDI の実態については、臨床的に疑われない、検査が利用できない環境である、といった理由から、不明な部分が多い。本研究は広東省の 1,800 床の教育病院で行われ、便培養で検出された C.difficile について、PCR を用いて同定とトキシン産生の決定を行った。下痢患者中、CDI の占める割合が高かったが、市中発症例が 35%を占めていたことも特徴であった。診断・管理の状況のみならず、今後、中国の他の地域からの疫学調査の報告が待たれる。
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