病棟におけるインフルエンザ曝露後予防のためのオセルタミビル 3 日間投与★★

2016.10.31

Three-day regimen of oseltamivir for postexposure prophylaxis of influenza in wards


N. Ishiguro*, R. Oyamada, Y. Nasuhara, T. Yamada, T. Miyamoto, S. Imai, K. Akizawa, T. Fukumoto, S. Iwasaki, H. Iijima, K. Ono
*Hokkaido University Hospital, Japan
Journal of Hospital Infection (2016) 94, 150-153
インフルエンザ患者と密接な接触をした入院患者に、曝露後予防として、オセルタミビル(成人には 75 mgカプセル 1 日 1 回または小児には 2 mg/kg[最大 75 mgまで]1 日 1 回)を 3 日間投与した。インフルエンザ初発患者にはノイラミニダーゼ阻害薬を処方し、直ちに退院させるか隔離病室に移した。オセルタミビル 3 日間投与の予防効果は、全体で 93%(95%信頼区間[CI]53 ~ 99%、P = 0.023)およびインフルエンザ A で 94%(95% CI 61 ~ 99%、P = 0.017)で、曝露後予防としてオセルタミビルを 7 日間から 10 日間投与した場合と同等である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
インフルエンザ患者に接触した場合の曝露後予防投薬としてオセルタミビルやザナミビルは添付文書上では 1 日 1 回で 7 ~ 10 日間の投与が推奨されている。しかしこの推奨の根拠となった研究の多くは、「予防投薬中もインフルエンザ患者との接触が継続する」ことが前提となっている。以前から、「インフルエンザ患者と接触して、その後は接触がない場合でも 7 ~ 10 日間も予防内服を続けなければならないのか?」という疑問が呈されていたが、本研究はそれに対して「1 日 1 回、3 日間でも効果は変わらない」ことを示した日本発信の論文である。これをもとに、今すぐ日本のすべての病院でこの投与法が推奨されるわけではないが、自施設のポリシーを決定するのに参考になる研究ではないだろうか。

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