アシネトバクター・バウマニー(Acinetobacter baumannii)定着を迅速に検出するためのリアルタイム PCR 法の臨床的検証★★

2016.09.26

Clinical validation of a real-time polymerase chain reaction assay for rapid detection of Acinetobacter baumannii colonization


P. Blanco-Lobo*, V. González-Galán, M. García-Quintanilla, R. Valencia, A. Cazalla, C. Martín, I. Alonso, P. Pérez-Romero, J.M. Cisneros, J. Aznar, M.J. McConnell
*University Hospital Virgen del Rocı´o/CSIC/University of Seville, Spain
Journal of Hospital Infection (2016) 94, 68-71
リアルタイム PCR を用いた手法は、積極的サーベイランス中のアシネトバクター・バウマニー(Acinetobacter baumannii)保菌患者の検出能力に関して評価を受けていない。この前向き二重盲検試験では、積極的サーベイランスの 397 検体中の A. baumannii 検出にリアルタイム PCR 法は従来の培養よりも高い感度(100%)および特異度(91.2%)を有し、3 時間以内に結果が得られることが示された。受信者動作特性曲線解析により、この方法には 97.7%の診断精度があることが示された(95%信頼区間 96.0 ~ 99.3%)。この方法で A. baumannii の伝播を予防する感染制御対策の迅速な実施を促すことが可能になるであろう。
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監訳者コメント
アシネトバクター・バウマニは、患者の腸管、皮膚、創部に保菌すると同時に、グラム陰性菌でありながら乾燥に強いため環境に長期間生存するため、環境と患者が供給源となり、一旦アウトブレイクがおこると、その制圧には多大な時間と労力、そして費用がかかる。積極的スクリニーングの部位として、鼻腔、咽頭、気管吸引、創部、皮膚、直腸があるが、培養は感度が低く 13.5%から 85%と報告により大きくばらつく。培養によるスクリーニングは、偽陰性をもたらし、適切な接触予防策の妨げとなる。リアルタイム PCR による保菌スクリーニングは、3 時間という短時間で高感度・高特異度で実施できるため、MDRA(多剤耐性アシネトバクター)によるアウトブレイク時のスクリーニングとしては有効な方法と考えられる。

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