スロバキア共和国の急性期病院における抗菌薬使用の点有病率研究★★

2016.08.13

Point prevalence study of antimicrobial usage in acute care hospitals in the Slovak Republic


M. Štefkovičová*, S. Litvová, V. Meluš, Z. Krištúfková, A. Bražinová
*Regional Public Health Authority, Slovak Republic
Journal of Hospital Infection (2016) 93, 403-409
背景
抗菌薬の使用およびその結果生じる耐性の出現が、今なお世界的に増加している。この問題に取り組むには、綿密なモニタリングおよび方針の厳格な実施が重要である。
目的
スロバキア共和国の急性期病院での抗菌薬使用を評価すること。
方法
医療関連感染症の点有病率調査の一環として抗菌薬使用をモニタリングした。欧州疾病予防管理センター(ECDC)によって確立された標準方法に従い、スロバキア共和国の病院 40 施設でサーベイランスを実施した。標準プロトコールに従ってデータを収集した。
結果
スロバキア共和国の病院 40 施設で合計 8,397 例の患者を調査した。そのうち 30.7%が調査時点で抗菌薬の投与を受けていた。630 例は 2 種類以上の抗菌薬の投与を受けていた。抗菌薬使用率は、集中治療室で最も高かった(54.3%)。抗菌薬の処方の頻度は、市中感染の治療で最も高く(48.1%)、次いで医療関連感染症の治療で高かった(11.4%)。周術期の抗菌薬の予防投与は、処方された全抗菌薬の 22.2%で適応であり、投与期間は症例の 81.5%で 24 時間を超えていた。最も多く使用された抗菌薬はフルオロキノロン(20.9%)であり、特に手術以外の予防投与(26.8%)および治療(21.9%)で多く使用されていた。周術期の予防投与に対して高頻度で処方された抗菌薬は、第 1 世代セファロスポリン(23.0%)、フルオロキノロン(14.7%)、および第 2 世代セファロスポリン(11.4%)であった。抗菌薬使用率は侵襲性医療器材を有する患者でより高かった。
結論
本研究で、広域スペクトル抗菌薬の過剰使用、周術期の予防投与の長期化、非経口抗菌薬の高頻度の使用、および処方の適応に関する不十分な記録が判明した。これらの所見は、スロバキア共和国の病院における抗菌薬管理の改善機会を示すものである。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
抗菌薬は感染症患者の予後を改善する一方で、過剰使用により耐性出現が大きな課題である ECDC は、欧州における抗菌薬使用状況サーベイランスを継続的に実施し、耐性菌や抗菌薬使用に関する情報を ECDC のホームページで公開している。スロバキア共和国にある 114 の病院のうち急性期病院 40 施設を無作為抽出し、抗菌薬使用状況と院内感染状況について、2012 年の 1 日の点有病率サーベイランス(PPS)が実施された。スロバキア共和国における初めての大規模調査である。日本においても薬剤耐性アクションプランが 2016 年 4 月に出されており、日本全体での状況把握が必要であり、PPS の実施が期待される。

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