バイオエアロゾルのサンプリング:サンプリングの機序、生物効率およびフィールド研究★

2016.07.13

Bioaerosol sampling: sampling mechanisms, bioefficiency and field studies


C.W. Haig*, W.G. Mackay, J.T. Walker, C. Williams
*University of the West of Scotland, UK
Journal of Hospital Infection (2016) 93, 242-255
医療環境において、病原体の空気伝播が疑われた場合の調査は、研究者にとってこの 100 年以上にわたって課題となってきた。個々の病原体が、環境条件と、それが受ける機械的ストレスに対して特有の反応を示すため、サンプリング装置の選択は明確でない。本研究の目的は、バイオエアロゾルのサンプリング、サンプリング装置およびその方法論についてレビューすることであった。電子データベースを用いて包括的な文献検索を実施し、バイオエアロゾルのサンプリングに関する英文による文献を抽出した。本レビューでは、一般的なバイオエアロゾルサンプリング装置(インピンジャ、サイクロン、インパクタ、フィルタなど)の機序を記述し、それらの装置の長所と短所の両方について、また微生物に対する生物効率に及ぼす影響について説明する。多数の研究が成功した結果を報告しており、作業者の病原体曝露をモニタリングする小型の個人用サンプリング装置の使用から、様々な医療環境で空気中微生物を採集する大型の固定式サンプリング装置に至るまで、バイオエアロゾルサンプリングにおける最良の実践が明らかにされている。最も重要なのは、研究を開始する際には、選択したサンプリング装置の生物効率と、実験条件下で調査対象とする病原体を明らかにすべきである、という要件である。そのような基礎に基づいて、現場の複雑な条件下におけるバイオエアロゾル材料のサンプリングは、低濃度の空気感染病原体の捕捉に成功する確実性を高めてくれる。研究室での実験から現場での使用まで、このレビューは、研究者がバイオエアロゾルサンプリング装置の選択とその適用について、情報に基づいた決定ができるようにするものである。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメントエアーサンプリングの機序がイラストで示されており、とてもわかりやすかった。さらに、医療環境でのエアサンプリングに関するレビューも興味深かった。

同カテゴリの記事

2013.11.30

Vancomycin resistance has no influence on outcomes of enterococcal bacteriuria

2013.07.31

Reduction of drain-associated cerebrospinal fluid infections in neurosurgical inpatients: a prospective study

2013.05.30

Trends, risk factors and outcomes of healthcare-associated infections within the Italian network SPIN-UTI

2010.05.30

Extended-spectrum β-lactamase-producing Enterobacter cloacae in mobile dialysis units in the medical and surgical departments of a university hospital: a case窶田ontrol study

2018.01.31

Cross-sectional point prevalence survey to study the environmental contamination of nosocomial pathogens in intensive care units under real-life conditions