スコットランドの 高齢者医療病院における長期にわたり費用のかかったノロウイルスアウトブレイクから学ばれた教訓:症例研究
Lessons learned from a prolonged and costly norovirus outbreak at a Scottish medicine of the elderly hospital: case study
J. Danial*, S. Ballard-Smith, C. Horsburgh, C. Crombie, A. Ovens, K.E. Templeton, A. Hardie, F. Cameron, L. Harvey, J. Stevenson, I. Johannessen
*Royal Infirmary of Edinburgh, UK
Journal of Hospital Infection (2016) 93, 127-134
背景
ノロウイルスアウトブレイクは、世界的に医療施設にとって大きな負担である。
目的
高齢者医療病院および英国ロシアン(Lothian)州の国民保健サービス(NHS)の他の施設における、施設を改善するための活動計画、ならびに院内のノロウイルス対応策にとって有用な情報を提供するなかで得られた教訓。
方法
本研究は、2013 年 2 月から 3 月にかけて、スコットランドの 14 の医療機関の1つに属する 高齢者医療病院における長期のアウトブレイクの影響を検討した。
結果
全体で、患者 143 例(1,000病床日あたり 14.80 症例)および医療スタッフ 30 名(1,000病床日あたり 3.10 症例)が臨床症状を呈し、63 例がウイルス学的検査で確認された。患者が発生した病棟への新たな入院を制限したため、1,192 病床日の損失となった。損失した病床日に加え、スタッフの欠勤およびアウトブレイクの管理による費用は、この事例のみについて推定で 341,534 ポンドかかった。アウトブレイク中のいくつかの時点で病院全体が閉鎖され、医療機関のうちの急性期病院に多大な影響を与えた。
結論
アウトブレイクにより、NHS ロシアン州内で初めて新たな方策が実施され、これにはフロア毎(個々の病棟ではなく)の病棟閉鎖、病院全体の塩素ベースの消毒薬による清掃強化、病床間隔の拡大ならびに医療機関のうちの一般診療所の外科からの直接の転院の中止による病床収容能力の削減、ならびに罹患区域における面会一時中止などが含まれた。アウトブレイク期間を通じてのスタッフ、患者、近親者、および一般市民への定期的な情報伝達と合わせて、本事態の管理におけるスタッフチームの積極的な取り組みによって、アウトブレイクは徐々に制御された。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
ノロウイルス流行期には医療機関相互の情報交換が重要である。また、こうした時期には不必要な患者の施設間移動は避けるべきである。
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