日本の長期ケア施設における GES-5 基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)によるアウトブレイクの制御の成功★

2016.05.23

Successful control of an outbreak of GES-5 extended-spectrum β-lactamase-producing Pseudomonas aeruginosa in a long-term care facility in Japan


A. Kanayama*, R. Kawahara, T. Yamagishi, K. Goto, Y. Kobaru, M. Takano, K. Morisada, A. Ukimura, F. Kawanishi, A. Tabuchi, T. Matsui, K. Oishi
*National Institute of Infectious Diseases, Japan
Journal of Hospital Infection (2016) 93, 35-41
背景
長期ケア施設(LTCF)における多剤耐性緑膿菌(multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa;MDRP)によるアウトブレイクについてはほとんど知られていない。
目的
LTCF における MDRP アウトブレイクについて記述すること、ならびに MDRP 獲得のリスク因子を明らかにすること。
方法
2013 年 1 月から 2014 年 1 月にわたり、LTCF における MDRP 陽性患者を分析した。記述的分析、症例対照研究、および微生物学的分析を実施した。
結果
MDRP 症例計 23 例を特定し、うち 16 例は喀痰サンプルで確認された。医療従事者において、口腔ケア、創傷ケアおよび性器ケアを行う際に手指衛生の非遵守が観察された。経鼻胃管および酸素マスクの使用は、気道における MDRP 獲得と関連し、これには手指衛生の遵守不良が関わっていた可能性があった。ポータブル口腔吸引デバイスなどの未消毒デバイスの共有、創傷および性器ケアのための消毒不十分な洗浄用ボトルや軟膏の共有は、一部の症例における MDRP 伝播を説明できると考えられた。11 例から分離された分離株は、パルスフィールド・ゲル電気泳動により識別不能または極めて近縁であり、遺伝子 blaGES-5 を保有していることが明らかになった。その後に強化された感染制御策は、近隣の病院および現地の公衆衛生機関による支援を受けた。2014 年 1 月に発生した症例を最後として、その後 1 年間に新たな症例は同定されなかった。
結論
抗菌薬耐性遺伝子 blaGES-5 を保有する MDRP によるアウトブレイクが、日本の LTCF で発生した。このアウトブレイクは、感染制御策の強化により制御され、この制御策は近隣の病院と現地の公衆衛生機関による支援を受けた。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
日本からの投稿である。実地疫学専門家養成コース(FETP-J、国立感染症研究所)が地方自治体とともに疫学調査を行った論文であり、記述疫学、解析疫学の基本が丁寧に示されている。参考にしたい。

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