医療関連尿路感染症に関連する入院期間および死亡率:多状態モデル
Length of stay and mortality associated with healthcare-associated urinary tract infections: a multi-state model
B.G. Mitchell*, J.K. Ferguson, M. Anderson, J. Sear, A. Barnett
*Avondale College of Higher Education,Australia
Journal of Hospital Infection (2016) 93, 92-99
背景
抗菌薬耐性の出現は、原因微生物の大部分がグラム陰性菌であるため、尿路感染症(UTI)に関して特に懸念されている。医療関連 UTI は尿路における器具の使用、特に留置カテーテルに関連していることが多い。
目的
現在の医療関連 UTI の発生率、死亡率および入院期間を評価すること。
方法
非同時性コホート研究デザインを用い、2010 年 1 月 1日から 2014 年 6 月 30 日に実施した。オーストラリアの研究参加 8 病院のうち、いずれか1 つの病院に2 日を超えて入院した患者すべてを対象とした。発生率、死亡率、医療関連 UTI による入院延長期間を主要な評価項目とした。
結果
162,503 件の入院があり、入院患者の 1.73%(95%信頼区間[CI]1.67 ~ 1.80)が医療関連 UTI を発症した。多状態モデルを用いると、医療関連 UTI による入院期間の延長は 4 日(95%CI 3.1 ~ 5.0 日)であった。Cox 回帰モデルを用いると、感染は退院率を有意に低下させた(ハザード比[HR]0.78、95%CI 0.73 ~ 0.83)。女性は死亡する確率が低かった(HR 0.71、95%CI 0.66 ~ 0.75)が、高齢患者は死亡する確率が高かった(HR 1.40、95%CI 1.38 ~ 1.43)。年齢および性別で補正すると、死亡は、3 次紹介病院において他の病院より少なかった(HR 0.74、95%CI 0.69 ~ 0.78)。
結論
本研究は、先進国において適切な統計学的方法を用いて医療関連 UTI の負荷を調べた最初の研究である。我々の研究は、医療関連 UTI の発生はそれに関連した入院期間の延長を生ずるのみならず、病院システムへの負荷にもなることを示している。薬剤耐性菌による UTI 発生率の上昇に伴い、サーベイランスおよび医療関連 UTI の発生率を低下させる介入が求められている。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
医療関連 UTI の発生による入院期間延長・超過死亡、コスト、医療機関への影響については、これまで多数の報告が存在し、議論が重ねられてきた課題であるが、広域(13 万平方キロ)かつ多くの人口(85 万人)をカバーする複数の病院を対象としている本検討は、大規模な医療システムに対して医療関連 UTI がもたらすインパクトの一端を明らかにしているといえる。
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