内視鏡関連アウトブレイクにおける耐熱性基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)★
Heat-resistant, extended-spectrum β-lactamase-producing Klebsiella pneumoniae in endoscope-mediated outbreak
S.B. Jørgensen*, M.S. Bojer, E.J. Boll, Y. Martin, K. Helmersen, M. Skogstad, C. Struve
*Akershus University Hospital, Norway
Journal of Hospital Infection (2016) 93, 57-62
背景
ノルウェーの 2 次医療病院の集中治療室における、基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)株によるアウトブレイクを報告する。アウトブレイクの発生源は気管内挿管用光ファイバー内視鏡で、アウトブレイク株が専用のコンタミネーション除去装置を用いた化学熱消毒にもかかわらず内視鏡内に生存していた。肺炎桿菌アウトブレイク株において、微生物の耐熱性を高める clpK が遺伝子マーカーとして以前に報告されている。
目的
アウトブレイク株のバイオフィルム形成および熱ショック安定性における clpK の役割を調べること。
方法
臨床記録のレビュー、患者のスクリーニング、ならびに気管内挿管用内視鏡および気管支鏡の培養により、アウトブレイク調査を行った。増幅断片長多型を用いてアウトブレイク株を同定した。PCR 法、次いで変異体構造アッセイおよび熱ショックアッセイを用いて clpK を検出した。
結果
患者 5 例と内視鏡 1 本から、同一の増幅断片長多型パターンを有する肺炎桿菌が検出された。アウトブレイク株では遺伝子マーカーclpK が検出され、これによりアウトブレイク株の耐熱性が上昇していた。熱処理後にバイオフィルムとして増殖したアウトブレイク株の生存率も clpK に強く依存していた。
結論
clpK は以前のアウトブレイクにおいて肺炎桿菌の臨床分離株と関連付けられていたが、アウトブレイクの環境発生源から ClpK 産生株が分離されたのは今回が初めてである。ある種の肺炎桿菌株の耐熱性は、医療機器上のバイオフィルムにおける生存を容易にし、これによりこれらの株の病院環境内で持続・拡散する能力を高める可能性がある。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
細菌の特徴には、毒性因子や抗菌薬耐性だけでなく、消毒薬耐性、さらには本事例のように耐熱性なども含まれる。本研究では実際に耐熱性遺伝子である clpK 遺伝子保有株が 53ºC 環境下で生存時間が延長することを示している。「加熱したから大丈夫」「消毒薬に浸漬したから大丈夫」と十把一絡げにはいえないことを再認識させられる報告である。細菌は実に様々な手段で生き延びようとしている。
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