2010 年以降に報告された手指衛生に関する臨床試験:システマティックレビュー

2016.04.29

Hand hygiene-related clinical trials reported since 2010: a systematic review


L. Kingston*, N.H. O’Connell, C.P. Dunne
*University of Limerick, Ireland
Journal of Hospital Infection (2016) 92, 309-320
現在、医療従事者の手指衛生遵守を改善することによって医療関連感染を減少させることが極めて重要視されている。また、医療従事者の手指衛生遵守の不良が一般のメディアに認識され、議論されることが増えている。我々の目的は、ピアレビュー後に発表された医療従事者の手指衛生遵守に焦点を当てた研究、特に臨床試験の系統的調査の結果を報告することであった。世界保健機関(WHO)の手指衛生ガイドラインが発表された後の 2009 年 12 月から、PubMed および CINAHL に手指衛生遵守のインデックスが付けられた 2014 年 2 月までに発表された文献を検索した。最初に検索された 57 報の適合性および方法論を検討後、最終的に 16 の臨床試験をレビューの対象とした。大部分は欧米で実施された研究であった。主な研究対象は集中治療室であり、続いて高齢者治療施設であった。最も多く研究対象とされた医療従事者カテゴリーは看護師であり、続いて看護補助者および医師であった。手指衛生遵守報告の分析単位は、「手指衛生のタイミング」であった。4 つの研究は WHO ガイドラインに記載された「私の手指衛生の 5 つのタイミング」の枠組みを採用し、他の論文はデザインの異なる独自の集学的戦略に焦点を当てた。以上より、手指衛生改善の介入戦略に集学的な方法を採用することは、その方法が WHO の枠組みに準拠するか、他の検討された集学的枠組みをに準拠するかによらず手指衛生遵守の中程度の改善をもたらすと考えられる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
WHOの5つのタイミングの与えたインパクトは相当大きく、手指衛生の評価を標準化するためには相当な功績がある。一方で、5つのタイミングを覚えるのには手間取るためより平易な言葉で簡素化しかつ実施率の高まるような仕掛けが必要であろう。

同カテゴリの記事

2019.07.02

Ex vivo and in vivo evaluation of residual chlorhexidine gluconate on skin following repetitive exposure to saline and wiping with 2% chlorhexidine gluconate/70% isopropyl alcohol pre-operative skin preparations

2020.02.29

Impact of an empiric therapy guide on antibiotic prescribing in the emergency department

2015.12.31

Organization of infection control in European hospitals

2024.01.31
A prospective bacterial whole-genome-sequencing-based surveillance programme for comprehensive early detection of healthcare-associated infection transmission in paediatric oncology patients

H. Hakim*, H.L. Glasgow, J.N. Brazelton, C.H. Gilliam, L. Richards, R.T. Hayden
*St. Jude Children’s Research Hospital, USA

Journal of Hospital Infection (2024) 143, 53-63



JHIサマリー日本語版サイトについて
JHIサマリー日本語版監訳者プロフィール
日本環境感染学会関連用語英和対照表

サイト内検索

レーティング

アーカイブ