手指衛生遵守:ドイツの全国的手指衛生キャンペーンからの参考データ
Compliance with hand hygiene: reference data from the national hand hygiene campaign in Germany
W. Wetzker*, K. Bunte-Schönberger, J. Walter, G. Pilarski, P. Gastmeier, Ch. Reichardt
*Charité – University Medicine Berlin, Germany
Journal of Hospital Infection (2016) 92, 328-331
手指衛生は医療関連感染予防の重要な評価指標である。全国的に手指衛生を推進するために、2008 年 1 月、世界保健機関(WHO)の「Clean Care is Safer Care(清潔なケアはより安全なケア)」イニシアチブに基づき、ドイツのキャンペーン「Aktion Saubere Hände(手指衛生行動)」が開始された。本稿では、更新された観察ツールを用いて記録した手指衛生遵守に関する 1 年間の収集データから最初の結果を報告する。データは、109 の参加病院が 2014 年 1 月 1 日から 12 月 31 日に 576 病棟から収集し、提出を受けたものに基づいた。全体の遵守率の中央値は 73%、範囲は 55%(10 パーセンタイル値)~ 89%(90 パーセンタイル値)であった。結果は、成人の集中治療室(ICU)と成人以外の ICU で差はほとんどみられず、新生児用 ICU と小児の非 ICU は、成人の治療室より高い遵守率を維持していた。看護師の成績は医師より良好であり、手指衛生成績の総合的な率は、患者と接触する前より接触した後の方が有意に高かった。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
全体の遵守率が 73%ととてもよい結果、という印象であった。日本では、同様の報告としては、崎浜らの調査で処置後の遵守率が 32.7%となっていた J Hosp Med. 2016 Mar;11(3):199-205 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26427035)。手指衛生遵守率は、ホーソン効果などもあり、観察の方法で大きく異なってくるが、それにしても、どのような職員教育を行っているのかが知りたい。
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