感染制御における利用者の果たす役割を明確にする
Defining the user role in infection control
R. Ahmad*, M. Iwami, E. Castro-Sánchez, F. Husson, K. Taiyari, W. Zingg, A. Holmes
*Imperial College London, UK
Journal of Hospital Infection (2016) 92, 321-327
背景
健康政策イニシアチブは、安全性の改善、情報の入手可能性の提唱、迅速診断検査時の関与における患者および一般市民の役割が重要であると常に考えている。感染制御については、病院実績に関して公表されている大量の情報を利用者がどのように解釈しているかの理解は限られており、医療従事者に手指衛生行動の遵守喚起を含む戦略を支持するエビデンスはほとんどない。
目的
患者の安全性における自身の役割を、特に感染制御において、利用者がどのようにとらえているかを理解すること。
方法
参加者 41 人(最近、英国・ロンドンで入院による病院治療を経験した介護者 15人および患者 26 例)から、集団面接、自記式質問票、シナリオ評価により、利用者としての意見を収集し、分析を行った。さらに、定性的解析の評価者間信頼性を示すためにプロジェクトの患者代表が研究事象の直接閲覧を行った。
結果
複数の病院選択肢があり受診する場合、利用者は全身の安全性に関連する失敗のエビデンスを考慮し、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)発生率が高い(警告を受けた)病院を無視することはなかった。さらに、利用者は、利用者満足に加えて、職場内の従事者満足を考慮した。受けた治療に最も不満足な人が医療従事者に「手を洗いましたか?」と尋ねる可能性は低かった。
結論
今回の比較的情報に通じた利用者標本からの意見の詳細な定性的解析は、「何が重要か」を示しており、改善イニシアチブの新しい方法を提供する。利用者が指標を全体的な視点でとらえていると思われることは心強い。患者満足の意義を理解すると同時に、医療従事者満足の側面を改善する戦略が必要である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
医療者は「顧客満足度」の観点から患者に対する医療提供のあり方を見直す必要がある。それは医療が高度であろうとなかろうと関係ない。患者が消費者の立場で医療機関を監視することで、病院の提供するサービスのあり方も大きく改善する。
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