積極的監視培養:多剤耐性菌検出のための鼠径部と直腸部の比較

2016.02.28

Active surveillance cultures: comparison of inguinal and rectal sites for detection of multidrug-resistant bacteria


C.J.N. Stier*, M.C. Paganini, H.H.M. de Souza, L.M.D. Costa, G.S. dos Santos, E.D.A. Cruz
*Hospital de Clínicas, Federal University of Paraná (UFPR), Brazil
Journal of Hospital Infection (2016) 92, 178-182
背景
直腸スワブは、腸管内に定着した多剤耐性菌検出に最も広く用いられる監視法である。しかしながら検体の採取は患者にとって困惑するものでもあるし、不快でもある。先行研究では、直腸周囲スワブの感度および特異度は直腸スワブと同程度で、患者の許容度がより大きいことが示されている。
目的
腸管内に定着した多剤耐性菌の検出を目標とし、鼠径部スワブと直腸スワブを比較すること。
方法
ブラジル人患者 102 例を対象として、前向き比較対照疫学研究を実施した。鼠径部スワブと直腸スワブ両方を採取して培養結果を比較した。
結果
直腸スワブと比べて、鼠径部スワブの感度および特異度はそれぞれ 91.8%および 88.7%であった。直腸検体からのコロニー数が少ない場合でも、鼠径部検体からは 100 以上のコロニーが得られた。
結論
鼠径部は、腸管内に定着した多剤耐性菌の監視培養を目的とした場合、代替の検体採取部位になり得ると考えられる。鼠径部スワブ法は、多剤耐性菌の評価において、感度・特異度に優れ、採取に伴う気恥ずかしさも少なく、診療上容易に実施できるものといえる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
直腸スワブによる培養は腸管内の細菌叢を反映するが、多剤耐性菌の検出に関しては、鼠径スワブがその代替になりうることが示された。陰部、鼠径部の汚染が著しいことは、同時に接触感染による伝播のリスクが非常に大きいことも意味している。

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