病院内のマットレスの用手洗浄:資源の豊富な環境と乏しい環境を比較する観察研究
Manual cleaning of hospital mattresses: an observational study comparing high- and low-resource settings
J. Hopman*, B. Hakizimana, W.A.J. Meintjes, M. Nillessen, E. de Both, A. Voss, S. Mehtar
*Radboud University Medical Center, The Netherlands
Journal of Hospital Infection (2016) 92, 14-18
背景
医療関連感染症は、資源の乏しい環境では、資源の豊富な環境よりも高い頻度で認められる。資源の乏しい環境における医療関連感染症予防を強化するための、実施可能かつ持続可能なアプローチを明らかにし、実施する必要がある。
目的
定期的に清掃を行っているマットレスの生物学的汚染を、資源の豊富な環境と乏しい環境で評価すること。
方法
2 段階の本観察研究では、定期的なベッドの用手洗浄について、大学病院 2 施設でアデノシン三リン酸(ATP)を用いて評価した。清掃担当者に対する標準化した訓練を、資源の豊富な環境と乏しい環境の両方で実施した。清掃プロセスの質的分析を行って、資源の乏しい環境における清掃成績の予測因子を明らかにした。
結果
資源の乏しい環境のマットレスは、清掃前の汚染度が高かった。清掃により、資源の乏しい環境のマットレスの生物学的汚染が有意に減少した(P < 0.0001)。訓練後、資源の豊富な環境と乏しい環境の両方において、清掃後に認められた汚染は同等のようであった。適切な種類の清掃用具を用いた清掃により、マットレスの汚染は十分に減少した。資源の乏しい環境において汚染が残るマットレスの予測因子は、使用した用具の種類、病棟の種類、訓練、および清掃前の汚染度などであった。
結論
資源の乏しい環境では、ATP レベルで示されたようにマットレスは高度に汚染されていた。訓練されたスタッフによる定期的な用手洗浄は、資源の豊富な環境と同様に資源の乏しい環境でも効果的となり得る。我々は、院内清掃スタッフの訓練、患者間で十分な時間をおいた清潔なベッドの使用、および正確な種類の清掃用具の適用などからなる、多面的な清掃戦略を推奨する。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
オランダと南アフリカ共和国の資源が豊富かどうかという観点での病院マットレスの衛生状態の評価の比較である。実務者指導が低資源国においても感染予防に繋がる可能性を説いている。
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