欧州の病院における感染制御の組織
Organization of infection control in European hospitals
S. Hansen*, W. Zingg, R. Ahmad, Y. Kyratsis, M. Behnke, F. Schwab, D. Pittet, P. Gastmeier on behalf of the PROHIBIT study group
*Charité - University Medicine Berlin, Germany
Journal of Hospital Infection (2015) 91, 338-345
背景
Prevention of Hospital Infections by Intervention and Training(PROHIBIT)調査は、欧州全域の医療関連感染症予防の状況を調べることを目的として開始された。
目的
本稿では、PROHIBIT の定量的調査の方法を紹介するとともに、感染制御の体制および組織(各病院ごとの管理部門による支援を含む)に関する調査結果の概要を述べる。
方法
2011 年 9 月から 2012 年 3 月に 34 か国の病院に調査への参加を要請した。回答者は感染制御担当者や病院管理者などであった。
結果
24 か国の病院 309 施設からのデータを分析した。参加病院の1,000床当たりの感染制御担当看護師数の中央値(四分位範囲)は 4 名(2 ~ 6 名)、感染制御担当医師数は 1 名(0 ~ 2 名)であった。ほとんどすべての病院(96%)は感染制御の目標を設定しており、多くは手指衛生(87%)、医療関連感染症の減少(84%)、および抗菌薬管理(66%)などに関するものであった。約半数の病院では上級管理者が leadership walk round(指導者による巡回)を実施しており、東欧(65%)および北欧(64%)で実施率が高かった。半数以上の病院(71%)では、感染制御実践の逸脱の反復に対する処罰は実施していなかった。処罰の実施状況は地域によって有意なばらつきがみられたが(P < 0.001)、国の医療費ごとのばらつきはみられなかった。
結論
感染制御担当職員の配置および感染制御方針は、欧州全体では大きなばらつきが認められた。手指衛生などの一部の実践領域に対しては、抗菌薬管理などの同等の重要性を有する他の領域と比較して、極めて多くの注意が払われているようである。感染制御プログラムには、人的資源や病院の方針が不十分であることなど、感染制御の有効性に負の影響を及ぼす普遍的な因子による問題が認められた。欧州の病院では感染制御方針の強化を公衆衛生上の優先事項とすべきである。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
「参加病院の 1,000 床当たりの感染制御担当看護師数の中央値(四分位範囲)は 4 名(2 ~ 6 名)、感染制御担当医師数は 1 名(0 ~ 2 名)であった」。やはり、1,000 床当たり中央値で 4 名(少なくとも 2 名)の感染管理看護師の存在は世界標準として考えていきたい、と再認識した。
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