スウェーデンの病院における医療関連感染症の 2008 年から 2014 年の点有病率サーベイランス:手法の説明および結果の信頼性

2015.11.30

Point-prevalence surveillance of healthcare-associated infections in Swedish hospitals, 2008-2014. Description of the method and reliability of results


A. Tammelin*, I. Qvarfordt
*Karolinska Institutet, Sweden
Journal of Hospital Infection (2015) 91, 220-224
背景
Swedish Association of Local Authorities and Regions(SALAR)は 2007 年、入院患者の医療関連感染症(HCAI)の全国的な点有病率サーベイランス制度を確立することを決定した。サーベイランスは 2008 年に開始し、その後は 1 年に 2 回(4 月および 10 月)実施されている。HCAI の文書の作成は、各病棟の常勤医師および看護師が口頭および文書による指示により行う。スウェーデンの全公営病院(全病院の 95%を超える)が対象となる(2008 年 25,862 床、2013 年 24,905 床)。各回の調査で全入院患者の 88%から 92%が対象となっている。全体の HCAI 有病率(精神科入院患者を含む)は 7.8%から 10.0%の範囲である。
目的
SALAR は 2012 年、有病率データの信頼性を評価することを決定した。
方法
合計 1,216 例の患者の HCAI の有無を、常設のサーベイランスチームと HCAI に関する専門知識を有するチームがそれぞれ独立して評価した。
結果
HCAI 有病率は、常設チーム 8.3%(95%信頼区間[CI]6.7% ~ 9.9%)、専門家チーム 13.1%(95%CI 11.2% ~ 15.0%)であった。常設チームの点有病率サーベイランスの感度は 47%、特異度は 97%であった。
結論
スウェーデンの HCAI 点有病率の継続的な全国的サーベイランス制度では、これまでの入院患者の捕捉率は約 90%と高い。しかし、この調査は HCAI の真の有病率を過小評価している。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
スウェーデンの人口は 959 万人で、今回全ベッド数の 95%以上を占める 24,905 床を対象にサーベイランスが行われた。専門家チームの 13.1%を採用すると、3,237 人(人口 1 万人当たり 3.4 人)以上の患者が HCAI を有していたことになる。本邦での HCAI の発生数について、人口当たりで換算できるものは少ないが、仮に人口 50 万人をカバーする大規模病院を考えると、169 人以上となる。スウェーデンと本邦では病院の集約状況は異なっているが、今回の算定は非常に興味深い結果といえよう。

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