血液培養汚染の減少のための効果的なステップとしての教育的介入:前向きコホート研究
Educational intervention as an effective step for reducing blood culture contamination: a prospective cohort study
W.B. Park*, S.J. Myung, M.-d. Oh, J. Lee, N.-J. Kim, E.-C. Kim, J.S. Park
*Seoul National University Hospital, Republic of Korea
Journal of Hospital Infection (2015) 91, 111-116
背景
血液培養汚染は診断の障害となり、医療サービスに負担をもたらしている。
目的
医師資格試験の一環として臨床能力試験を導入することの影響、および施設内教育プログラムが血液培養汚染率に及ぼす影響を明らかにすること。
方法
3 次教育病院 1 施設の全病棟で、2009 年から 2013 年に前向きコホート研究を実施した。2010 年の韓国医師国家試験(KMLE)に追加された臨床能力試験、および 2013 年に開始した当院の施設内教育プログラムの影響を評価した。培養用血液採取を行っている内科インターンを、臨床能力試験および施設内教育プログラムの有無によって 3 群に分けた。主要評価項目は各群の血液培養汚染率とし、Poisson 回帰モデルによりこれらを比較した。採血手順に関する参加者の自己評価スコアについても分析を行った。
結果
KMLE に臨床能力試験を導入することによって血液培養汚染率は低下しなかったが(1.36%対 1.35%、P = 0.734)、施設内教育プログラムにより汚染率は有意に低下した(1.35%対 1.00%、P < 0.0001)。ほとんどの参加者は、皮膚消毒薬の使用後に、推奨されている接触時間を待つことを除いて、各ステップに常に正しく従ったと回答した。
結論
教育的介入は全体的な汚染率低下に有効であったが、KMLE への臨床能力試験の導入は有効ではなかった。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
KMLE(国家試験時)の「血液培養採取テスト」はあくまで試験上のもので、実際のトレーニングとは異なる。したがって、参加者の姿勢はおのずと試験合格であり、実地臨床での教育トレーニングとは結果が異なることは当然の結果といえる。本論文においては論じられていないが、成人教育における基本が推測される。特に、消毒剤塗布後の穿刺までの時間(1.5 分から 2 分)は十分な消毒効果と汚染率低減上、極めて重要であるが、そのことの教育が KMLE 前の参加者に理解されておらず、試験合格が目標になった可能性がある。成人の教育において、practical(実践的)、motivation(動機が必要)、automonous(自律的学習)、relevancy(仕事との関連性が必要)、goal-oriented(目的・目標が明確)、experience(自己の経験に即して)が重要とされており、KMLE における教育において、すべての 6 つの要素が欠けていた可能性がある。一方で、施設でのトレーニングは医師国家試験に合格後の研修医トレーニングであり、これらの要素が満たされていたことが、汚染率低減につながったと推測される。
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