Korean Nosocomial Infections Surveillance System 設立後の集中治療室におけるデバイス関連感染症発生率の動向
Trends in the incidence rate of device-associated infections in intensive care units after the establishment of the Korean Nosocomial Infections Surveillance System
J.Y. Choi*, Y.G. Kwak, H. Yoo, S.-O. Lee, H.B. Kim, S.H. Han, H.J. Choi, Y.K. Kim, S.R. Kim, T.H. Kim, H. Lee, H.K. Chun, J.-S. Kim, B.W. Eun, D.W. Kim, H.-S. Koo, G.-R. Bae, K. Lee
*Yonsei University College of Medicine, South Korea
Journal of Hospital Infection (2015) 91, 28-34
背景
医療関連感染症の継続的な全国的サーベイランスの有効性を各国で調査すべきである。
目的
Korean Nosocomial Infections Surveillance System(KONIS)設立後の集中治療室(ICU)におけるデバイス関連感染症の発生率を評価すること。
方法
KONIS に参加する全病院が報告した ICU におけるデバイス関連感染症発生率に関する全国的データを入手した。下記の 3 つの主要なデバイス関連感染症、すなわち人工呼吸器関連肺炎(VAP)、中心ライン関連血流感染症(CABSI)、およびカテーテル関連尿路感染症(CAUTI)について調査を実施した。これらのデバイス関連感染症の 2006 年から 2012 年のプールした発生率および 1 年ごとの発生率(1,000 デバイス日あたりの症例数)を明らかにした。さらに、KONIS に連続して 3 年間以上参加した施設のデータを別途に解析した。
結果
KONIS 参加 ICU の数は、2006 年の 76 から 2012 年の 162 へ漸増した。2006 年から 2012 年にかけて、VAP 発生率は 1,000 デバイス日あたり 3.48 から 1.64 へ有意に低下し(F = 11、P < 0.01)、CAUTI 発生率は有意ではないが 1.85 から 1.26 へ低下し(F = 2.02、P = 0.07)、CABSI 発生率も有意ではないが 3.4 から 2.57 に低下した(F = 1.73、P = 0.12)。KONIS に連続して 3 年間以上参加した 132 の ICU では、VAP 発生率は 1 年目から 3 年目にかけて有意に低下したが(F = 20.57、P < 0.01)、CAUTI 発生率(F = 1.06、P = 0.35)および CABSI 発生率(F = 1.39、P = 0.25)に有意な変化はなかった。
結論
韓国の ICU における VAP 発生率の低下は、KONIS が実施している継続的な前向きサーベイランスと関連していると考えられる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
サーベイランスの参加施設数の増加に伴い、デバイス感染率が低下しているとの報告である。感染率を知ることで、自施設のデバイス関連感染予防策の実施による改善効果を確認できることが追い風となっている。
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