ポーランドにおける医療関連感染症および抗菌薬使用に関する ECDC による点有病率調査の 2 年間の経験に基づく医療関連感染症のリスク因子

2015.08.31

Risk factors for healthcare-associated infection in light of two years of experience with the ECDC point prevalence survey of healthcare-associated infection and antimicrobial use in Poland


A. Deptuła*, E. Trejnowska, T. Ozorowski, W. Hryniewicz
*Nicolaus Copernicus University, Poland
Journal of Hospital Infection (2015) 90, 310-315
背景
医療関連感染症(HAI)および抗菌薬耐性は、今日の医療における最も重要な二大脅威である。本研究の目的は、ポーランドの急性期病院の入院患者における HAI 有病率高値に関連する独立リスク因子について評価することである。
方法
本研究は、欧州疾病予防管理センター(ECDC)による HAI および抗菌薬使用の点有病率調査プロトコールに従って実施した。50 の病院から患者 16,598 例のデータを収集した。評価した独立リスク因子は、病院の規模および種類、擦式アルコール製剤の使用量、個室の割合、専従換算(FTE)による感染制御医師・看護師 1 名あたりの病床数、性別、年齢、入院した診療科、侵襲的処置の実施、および McCabe スコアとした。
結果
HAI 有病率が高かったのは、大規模病院(6.7%)、教育病院(7.4%)、1 歳未満の小児(13.3%)、および男性(7.2%)であった。強い関連がみられた侵襲的処置は、中心静脈カテーテル(30.2%)、挿管(41.6%)、尿路カテーテル(17.5%)であった。HAI 有病率が高かったのは、集中治療室(ICU)の患者(成人 39.8%、小児 30.8%)であった。HAI 有病率が低かったのは、感染制御看護師 FTE 1 名あたりの病床数が 200 床未満の病院(4.1%)であった。
結論
ICU の小児および成人患者は HAI のリスク因子への曝露が大きく HAI 有病率が高いため、ポーランドでは全国的に HAI 予防プログラムを導入すべきである。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
医療関連感染症に関する point prevalence survey(点有病率調査)は近年、欧米を中心に行われているサーベイランス形態の 1 つで、ある時点(ある 1 日や、ある時間など)における感染症患者やデバイスの有無、抗菌薬の使用状況等を多数の病院で調査するもので、メリットとしては 1つひとつの病院の負担が少なく済むことが挙げられる。日本でも様々な場面において利用できる調査法で、同様のデザインによってわが国における医療関連感染症の有病率やそのリスク因子などを明らかにすることができるだろう。

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