麻酔に関する臨床的操作が静脈内投与液および静脈内投与薬の細菌汚染に及ぼす影響の調査★

2015.05.31

Investigating the impact of clinical anaesthetic practice on bacterial contamination of intravenous fluids and drugs


N. Mahida*, K. Levi, A. Kearns, S. Snape, I. Moppett
*Nottingham University Hospitals NHS Trust, UK
Journal of Hospital Infection (2015) 90, 70-74
手術症例 101 例からのシリンジ(N = 426)、人工呼吸器スワブ(N = 202)、および静脈内投与セット(N = 47)の細菌汚染の評価を行った。培養陽性率は、シリンジ先端の外側表面 46%、シリンジ内容物 15%であった。培養により同一細菌種が人工呼吸器とシリンジの両方に認められたのは症例の 13%であり、2 症例では静脈内投与セットからも検出された。緊急手術症例と汚染シリンジとの間に有意な関連が認められた(オッズ比[OR]4.5、95%信頼区間[CI]1.37 ~ 14.8、P = 0.01)。その他のリスク因子は、手袋の不使用およびシリンジのキャップの不装着などであった。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
手術時の環境汚染、すなわち麻酔時に使用される機器を介して、またはスタッフの不適切な手指消毒が供給源となり、医療関連感染に関与しているという認識が高まっている。本論文では、人工呼吸器回路、輸液回路および静注シリンジの汚染について培養により検討した。さらに、①緊急手術の有無、②手術の種類、③手指消毒後に手袋を着用してシリンジを使用した、④薬剤使用時には滅菌された針を毎回使用していた、⑤シリンジは単回使用か複数回使用か、複数回なら使用後キャップをして保管していたか、⑥静脈確保用のカニューレは手術室内に配置されているか、⑦側管からシリンジ注入開始前に手指消毒を実施し、手袋を装着していたか、⑧三方活栓のキャップは毎回新品と交換していたか、以上計8つの質問と同時に実施した。結果は、実際に無菌的な部位が汚染されているというものである。現場では何気なく実施している操作が、「無菌的操作として確実に実施されているか」を今一度確認する必要がある。

同カテゴリの記事

2021.03.31

The daily direct costs of isolating patients identified with highly resistant micro-organisms in a non-outbreak setting

 

M.D. van Dijk*, A.F. Voor in ’t holt, S. Polinder, J.A. Severin, M.C. Vos

*Erasmus MC University Medical Centre Rotterdam, The Netherlands

 

Journal of Hospital Infection (2021) 109, 88-95

 

2012.06.30

Hospital infestations by the moth fly, Clogmia albipunctata (Diptera: Psychodinae), in Germany

2011.05.01

Catheter-associated bloodstream infection incidence and risk factors in adults with cancer: a prospective cohort study

2010.04.11

Impact of standardised review of intravenous antibiotic therapy 72 hours after prescription in two internal medicine wards

2008.06.30

Molecular epidemiology of Legionella pneumophila serogroup 1 isolates following long-term chlorine dioxide treatment in a university hospital water system

JHIサマリー日本語版サイトについて
JHIサマリー日本語版監訳者プロフィール
日本環境感染学会関連用語英和対照表

サイト内検索

レーティング

アーカイブ