水晶体ハンドピースの蒸気滅菌プロセス中の静置方向に関するケーススタディ★
Case study on the orientation of phaco hand pieces during steam sterilization processes
J.P.C.M. van Doornmalen Gomez Hoyos*, R.A.C. van Wezel, H.W.J.M. van Doornmalen
*Eindhoven University of Technology, The Netherlands
Journal of Hospital Infection (2015) 90, 52-58
背景
蒸気滅菌は感染予防の不可欠な要素である。チャネルを有する医療器具の滅菌は軽視できないことが、文献から示されている。水晶体ハンドピースは単純な構造からなる、口径が一定のチャネルを備えたデバイスである。水晶体ハンドピースの内腔表面の滅菌条件が、ハンドピースの静置方向の影響を受けるかどうかを示した文献は見当たらない。
目的
水晶体ハンドピースの静置方向が、本デバイスの滅菌プロセスの効果に影響を及ぼすかどうかを明らかにすること。
方法
蒸気滅菌器、滅菌プロセス、水晶体ハンドピースの種類、水晶体ハンドピースの静置方向、およびラッピングをプロトコールに基づいて組み合わせて、実験的な定性的ケーススタディを実施した。
結果
本実験の特定のケースでは、ハンドピースの静置方向は蒸気滅菌プロセスの効果に影響を及ぼし、水晶体ハンドピースを垂直(直立)に静置して自然排水した場合に、再現性をもって滅菌条件に到達した。同一のプロセスでハンドピースを水平に静置した場合、または垂直に静置して自然排水しなかった場合は、これらの滅菌条件に再現性をもって到達することはなかった。
結論
評価を行った滅菌器、滅菌プロセス、処理量、静置方向、およびラッピングの組み合わせでは、内腔表面を蒸気滅菌条件に到達させるためには、水晶体ハンドピースを垂直(直立)に静置して自然排水する必要がある。構造と寸法が同等の機器であれば、同様の効果が得られると考えられる。したがって、医療器具の開発時や性能評価時には、これらの問題を考慮することが推奨される。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
Phaco hand piece は眼科領域の水晶体手術を行う時に用いる内腔のある医療器具である。このような内腔のある医療器具の蒸気滅菌を行う際に器具を縦にするか、横にするかというのは個人的工夫の範疇でもあったが、本研究では縦に静置し、中にたまった水滴が下に落ちるようにすべきであるとしている。実際には hand piece と滅菌器の組み合わせなど様々な考慮すべき因子があると思われるが、興味深い研究である。
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