長期療養施設における医療関連感染および抗菌薬の使用:HALT 調査でのアイルランドの経験
Healthcare-associated infections and antimicrobial use in long-term care facilities: the Irish experience with the HALT surveys
K. Burns*, F. Roche, S. Donlon
*Health Protection Surveillance Centre, Ireland
Journal of Hospital Infection (2015) 89, 276-280
欧州疾病予防管理センター(ECDC)は、欧州の住民の高齢化を受けて、欧州の長期療養施設における医療関連感染と抗菌薬の使用(healthcare-associated infection and antimicrobial use in long-term care facilities;HALT)に関する点有病率調査(PPS)を要請した。2010 年の初回調査には、アイルランドの長期療養施設 69 施設が参加した。アイルランドの長期療養施設における感染予防・制御プロファイルおよび抗菌薬管理の改善を目的とした、一連の介入を実施した。アイルランドでは 2 回目の HALT 調査を 2011 年に実施し、108 の長期療養施設が参加した。さらにアイルランドでは 2013 年に、2 回目の欧州の HALT 調査の一環として調査を実施し、190 の長期療養施設が参加した。アイルランドの HALT 調査の最新報告では、これまでの 3 回の点有病率調査のデータを取り入れ、調査の結果と、アイルランドの多職種からなる運営グループが推奨する国内での優先実施事項について論じている。欧州の 2 回の HALT に関する点有病率調査では、全入居者の約 10%がアイルランドの入居者であった。このことと、調査に参加する長期療養施設数の増加は、アイルランドの長期療養施設の医療従事者は入居者ケアの質および安全の改善に最大限の努力を投じていることを示している。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
日本はもとより、欧州(EU)においても高齢化が進み、長期療養型施設における医療関連感染対策と抗菌薬の適正使用は重要な課題である。2010 年から ECDC の HALT の PPS が開始され、EU における施設内感染の状況と抗菌薬の使用状況が把握できるようになった。日本では急性期病院において、診療報酬上の施設基準に関してこれらへの対応が必要となり、ようやく定着してきたところである。今後、高齢化の進む日本において長期療養型病床群や介護施設での医療施設内感染の状況把握と抗菌薬適正使用は重要な課題であり、将来的に必須化されるかもしれない。
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