新生児の医療関連感染症の予防:改善の余地★
Prevention of healthcare-associated infections in neonates: room for improvement
C. Legeay*, C. Bourigault, D. Lepelletier, J.R. Zahar
*Université d’Angers, France
Journal of Hospital Infection (2015) 89, 319-323
新生児集中治療室(NICU)の乳児は免疫系が未発達であるため、感染症に極めて罹患しやすい。医療関連感染症は長期入院に関連しており、神経系の発達上の問題や死亡の重大なリスク因子である。医療関連感染症の制御を改善することは NICU における優先課題である。新生児の医療関連感染症の発生には多くの因子が寄与しており、例えば不良な手指衛生、看護師対乳児比率が低いこと、環境汚染、および不必要な抗菌薬使用などが挙げられる。予防の基本となるものは、新生児管理の改善、中心静脈カテーテルの不必要な使用の回避、抗菌薬や H2 受容体拮抗薬の使用の制限、および必要時の予防的抗真菌薬投与である。医療関連感染症の減少を目的とした質改善のための介入は、感染制御に不可欠であると考えられる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
新生児の医療関連感染症は非常に重大かつ頻度が高いものであり、それをいかに減らすかという課題に直面したことがない施設は皆無であろう。関与する種々の因子について、複数を同時に改善していくことがより有効であることは明らかであるが、それを実行するためにはスタッフの認識・意識の共有を含め多くの工夫が必要である。これまでの常識・認識で見えていなかったことはないか、よりよい介入とは何か、常に考えていく必要があろう。
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