侵襲性カンジダ感染の予防:どこが改善可能か?★

2015.04.29

Preventing invasive candida infections. Where could we do better?


Philippe Eggimann*, Yok-Ai Que, Jean-Pierre Revelly, Jean-Luc Pagani
*Centre Hospitalier Universitaire Vaudois (CHUV), Switzerland
Journal of Hospital Infection (2015) 89, 302-308
侵襲性カンジダ症の死亡率は高く、敗血症性ショックを生じた場合、それは 35%から 60%にのぼる。侵襲性カンジダ症の疫学および発症機序は患者の免疫状態によって異なり、免疫不全者では半数以上がカンジダ血症であるのに対して、重症患者では半数以上を非カンジダ血症性の全身性カンジダ症が占める。カンジダ血症とは対照的に、非カンジダ血症性の全身性カンジダ症は確定診断が困難であり、特に重症患者では難しい。これらの患者では最大 80%に保菌がみられるが、侵襲性感染症を発症するのは 5%から 30%のみである。保菌状態と感染症例との区別は難しく、前者から後者への進展には 7 日から 10 日を要する。粘膜表面の保菌状態から、局所浸潤、続いて侵襲性感染症を連続的に来すために、予防的抗真菌薬投与や早期の経験的抗真菌治療の有益性が最も高い重症患者を特定することは困難である。非カンジダ血症性の全身性カンジダ症に対する早期の経験的治療は、現時点では、colonization index、カンジダスコア、および予測基準(カンジダ菌保菌状態、広域スペクトル抗菌薬使用歴、および腹部手術歴などのリスク因子の組み合わせ)といったリスク評価法の陽性的中率を参考に行われている。最近のガイドラインでは、これらの評価法には限られたエビデンスしかないとされてはいるが、臨床的には広く用いられており、侵襲性カンジダ症の発症率は大幅に低下している。
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監訳者コメント
侵襲性感染症の予防に関する情報や知見は増えつつあるが、リスク因子による予知、信頼できる検査法と解釈、早期の抗真菌薬投与の有用性など、未解決の部分は少なくない。特に非カンジダ血症性の全身性カンジダ症において、これまで得られている成績とコンセンサスを総括するには、本レビューは非常に適していると思われる。

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