関節全置換術後の人工関節周囲感染のリスク因子:システマティックレビューとメタアナリシス★

2015.02.27

Risk factors for periprosthetic joint infection after total joint arthroplasty: a systematic review and meta-analysis


Y. Zhu*, F. Zhang, W. Chen, S. Liu, Q. Zhang, Y. Zhang
*Third Hospital of Hebei Medical University, PR China
Journal of Hospital Infection (2015) 89, 82-89
関節全置換術後の人工関節周囲感染に関連すると考えられているリスクについて、多くは依然として異論があり、その特性は十分には明らかにされていない。Medline、Embase、Chinese National Knowledge Infrastructure、および Cochrane Central Database を用いて、1980 年 1 月から 2014 年 3 月の期間を対象としてオンライン検索およびマニュアルでの検索を実施した。組み入れ基準は、関節全置換術後の人工関節周囲感染のリスク因子の評価を目的としている、CONSORT ステートメントの質評価基準に合致する研究とした。2 名の評価者がそれぞれ独立して当該データを抽出し、不一致がある場合は合意により解決した。14 件の研究を本メタアナリシスの対象とした。人工関節周囲感染の重要なリスク因子として、以下のものが特定された。Body mass index(連続変数および二値変数の両方)、糖尿病、ステロイド療法、低アルブミン血症、関節リウマチの既往、輸血、創部ドレーン留置、創部離開、表在性手術部位感染症、凝固異常、悪性腫瘍、免疫低下、全米病院感染サーベイランス(NNIS)スコア ≧ 2、その他の院内感染症、長時間の手術、および手術歴。人工関節周囲感染と有意な関連を認めなかった因子は以下のものであった。肝硬変、甲状腺機能低下症、尿路感染症、違法薬物乱用、アルコール依存症、高コレステロール血症、高血圧、虚血性心疾患、消化性潰瘍、片麻痺または対麻痺、認知症、およびスタッフの外科医が実施した手術(研修医との比較)。関節全置換術後の人工関節周囲感染を予防するための戦略では特に、個々の患者のリスク因子に基づいて感染リスクが極めて高い患者を重視すべきである。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
人工関節置換術後の関節周囲の感染は、しばしば経験するものであり、それをいかに防ぐかは非常に重要な課題である。今回の研究で検討されたリスク因子は、いずれも感染症合併例に複合してみられやすいものであり、どの因子がより相関しているか明らかにできたことは意義深い。具体的な方策の立案にも寄与すると考えられる。

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