内視鏡のすすぎ水および最終すすぎの検査:5 年間の経験★

2014.12.31

Endoscopy supply water and final rinse testing: five years of experience


A. Marek*, A. Smith, M. Peat, A. Connell, I. Gillespie, P. Morrison, A. Hamilton, D. Shaw, A. Stewart, K. Hamilton, I. Smith, A. Mead, P. Howard, D. Ingle
*Glasgow Royal Infirmary, UK
Journal of Hospital Infection (2014) 88, 207-212
背景
内視鏡の再処理において、最後から 2 番目の過程は、最終消毒後の「水によるすすぎ(リンス)」である。このすすぎ水が微生物学的・化学的に質の保たれているものであるか、管理する必要がある。
目的
内視鏡器具用の最終すすぎ水について、5 年間にわたり水質を検査、報告、管理した経験について報告すること。
方法
3 台の内視鏡再処理ユニット(それぞれが2 機の逆浸透[RO]給水装置と連結された 5 台の内視鏡洗浄・消毒装置からなる)の最終すすぎ水の水質のモニタリングと管理を、週 1 回実施した。内視鏡洗浄・消毒装置は毎夜自動的に加熱消毒を行い、RO 給水装置には定期的に過酢酸による消毒・浄化を施した。最終すすぎ水について、総生菌数、シュードモナス(Pseudomonas)属菌、エンドトキシン、電気伝導度、環境抗酸菌、レジオネラ(Legionella)属菌の定期的な評価を行った。
結果
5 年間(2008 年から 2013 年)の試験期間中に、内視鏡すすぎ水から Pseudomonas 属菌、環境抗酸菌、Legionella 属菌が分離されることはなかった。電気伝導度の測定値はすべて 30 μs/cm 未満であった。エンドトキシンレベルは推奨カットオフ値に設定した 0.25 EU/mL を超えて変動したが、総生菌数との相関はみられなかった。総生菌数の傾向分析に基づいて、警報基準値および介入基準値を設定した。1 台の内視鏡洗浄・消毒装置の給水に Aspergillus 属菌の汚染がみられた以外には、内視鏡再処理ユニットの動作性能に支障は認められなかった。
結論
内視鏡洗浄・消毒装置の適切な熱消毒・化学的消毒法を組み入れた質管理指針により、最終すすぎ水は微生物学的基準に到達した。このような成功を収めるためには、微生物部門、感染制御部門、内視鏡装置管理者、および設備部門が協調したチームでのアプローチが必要である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
内視鏡の洗浄・消毒の最終過程における手順として、本邦では消毒薬のすすぎの後、アルコールフラッシュを行い、乾燥させる方法が推奨されている。またすすぎに使用する「すすぎ水」についても、上記のような RO 水が用いられることはあまりない。海外と状況は異なっているが、アルコールによる内視鏡部品の劣化や、「すすぎ水」汚染に関する情報の乏しさ、十分な乾燥の確保など、本邦での課題は多い。「すすぎ水」の質的担保とその重要性に関する認識が広まり、さらなる検討が進むことを望みたい。

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