密封包装内のバチルス・アトロファエウス(Bacillus atrophaeus)芽胞の不活化に対する高電圧大気圧低温プラズマのプロセスパラメータの影響および相対湿度の意義
Influence of high voltage atmospheric cold plasma process parameters and role of relative humidity on inactivation of Bacillus atrophaeus spores inside a sealed package
S. Patil*, T. Moiseev, N.N. Misra, P.J. Cullen, J.P. Mosnier, K.M. Keener, P. Bourke
*Dublin Institute of Technology, Ireland
Journal of Hospital Infection (2014) 88, 162-169
背景
低温プラズマによる種々の表面からの微生物汚染除去が大きな注目を集めている。
目的
誘電体バリア放電高電圧大気圧低温プラズマ(HVACP)の様々なパラメータが密封包装内のバチルス・アトロファエウス(Bacillus atrophaeus)芽胞の不活化に及ぼす影響を明らかにすること。
方法
B. atrophaeus 芽胞試験紙(芽胞数 2.3 × 106/枚、すなわち 6.36 log10/枚)を入れた滅菌ポリスチレン製ペトリ皿を密閉ポリプロピレン製容器内に置き、HVACP 処理を行った。70 kVRMS の高電圧をかけて、2 枚のアルミニウム製平板電極の間に HVACP 放電を発生させた。処理時間、照射モード(直接または間接)、および作動ガスの種類などのプロセスパラメータの影響を評価した。HVACP による不活化効果に相対湿度が及ぼす影響も評価した。不活化効果の評価にはコロニー数を使用した。光吸収分光法を用いて、HVACP 照射後のガス組成を評価した。
結果
プロセスパラメータは不活化に対して強い影響を及ぼすことが示された。60 秒間の直接プラズマ照射により、評価したすべての種類のガスで芽胞は 6 log10 サイクル以上減少した。しかし 60 秒間の間接照射では、芽胞減少は HVACP 発生に使用したガスの種類によって 2.1 log10 または 6.3 log10 サイクルであった。相対湿度は HVACP による芽胞不活化の極めて重要な因子であり、これにはプラズマにより生成するオゾン以外の活性種が主要な役割を担っていることが確認された。相対湿度 70%、60 秒間で記録された芽胞減少は、HVACP 直接照射で 6.3 log10 サイクル、間接照射で 5.7 log10 サイクルであった。
結論
まとめとして、プロセスパラメータは芽胞不活化に対して強い影響を及ぼすことが示された。密閉容器内の HVACP 照射による 30 ~ 60 秒以内での細菌芽胞の迅速な不活化は、医療器材および熱に弱い素材の表面の芽胞減少のための有望な方法であることが確認された。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
低温で高い菌減少効果が得られると、多くの医療器械に対応することができる。近年、医療器械の多様化とともに、素材の劣化や酸化などの問題から個々の器械ごとの検証についても地道な検証が重要である。
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