病原体の不活化のための 405 nm 光を用いた技術と、環境消毒および感染制御において想定されるその役割

2014.09.30

405 nm light technology for the inactivation of pathogens and its potential role for environmental disinfection and infection control


M. Maclean*, K. McKenzie, J.G. Anderson, G. Gettinby, S.J. MacGregor
*University of Strathclyde, UK
Journal of Hospital Infection (2014) 88, 1-11
背景
紫外線(UV)光には殺菌作用があることは古くから知られていたが、可視光である 405 nm の青紫色光に抗菌作用が発見され、環境消毒および感染制御に利用されるようになったのはごく最近のことである。
目的
405 nm 光の抗菌活性に関するレビューを行うこと、また環境汚染除去技術へのその利用、特に病院環境の消毒について述べること。
方法
関連する科学論文や報告の詳細な文献検索。
結果
原核性から真核性までの幅広い微生物種(細菌芽胞や真菌胞子などの抵抗性の形態を含む)の殺滅にかかわる 405 nm 光による光力学的不活性化プロセスのベースとなる知見として、現在、多くの科学的エビデンスが得られている。実用目的では高輝度狭帯域光環境消毒システム(HINS-light EDS)が開発されており、病院の隔離室で検証が行われている。試験の結果から、この 405 nm 光システムは、院内の病床エリアの空気および曝露表面の連続的な消毒が可能であり、これにより標準的な清掃および感染制御手順の大幅な強化が可能であることが示されている。
結論
青紫色光、特に 405 nm 光は、幅広い細菌および真菌病原体に対する強い抗菌作用を有しており、UV 光よりも殺菌効果は低いものの、この弱点は病床環境で安全かつ連続的に使用できるという特性により相殺される。病院内で実施した試験では消毒効果に関する有望な結果が得られているが、今後、医療関連感染の減少に対するこの技術の影響を十分に明らかにする必要がある。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
405 nm の青紫色光の抗菌作用について検討した論文である。光源として LED など最新のハイテクで安定的な照射ができれば、遮蔽空間内で長時間安定した効果が期待される。

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