早期離床バンドル:院内肺炎発生率の低下と入院期間の短縮のための簡易な強化療法★

2014.09.30

The Early Mobility Bundle: a simple enhancement of therapy which may reduce incidence of hospital-acquired pneumonia and length of hospital stay


M. Stolbrink*, L. McGowan, H. Saman, T. Nguyen, R. Knightly, J. Sharpe, H. Reilly, S. Jones, A.M. Turner
*Liverpool School of Tropical Medicine and Hygiene, UK
Journal of Hospital Infection (2014) 88, 34-39
背景
理学療法で早期離床を促進することによって、股関節骨折患者の院内肺炎発生率が低下することが示されているが、内科患者の院内肺炎発生率への影響については検討されていない。
目的
理学療法による早期離床の促進により内科病棟の患者の院内肺炎発生率が低下し、入院期間が短縮するかどうかを明らかにすること。
方法
英国・バーミンガムの病院グループの呼吸器内科と老年病内科の各病棟で「早期離床バンドル」を導入した。バンドルの構成は、対象を絞った特別な理学療法、および病棟職員との共同による活動の奨励・推進であった。バンドル実施後の院内肺炎発生率、転倒、褥瘡、入院期間、および活動レベルを、同じ病院グループのマッチさせた 2 病棟と比較した。
結果
院内肺炎発生率は介入群で有意に低く(P < 0.0001)、交絡因子を補正後も結果は同様であった(P = 0.001)。また介入群では活動レベルが高く(P = 0.04)、患者の入院期間が第 1 四分位範囲内である割合が高かった(OR 1.44、P = 0.009)。その他のアウトカムには有意差は認められなかった。
結論
早期離床バンドルは院内肺炎発生率を低下させ、内科入院患者の活動性を高める有望な手段であることが示された。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
院内肺炎の発生は多くの因子に影響されるが、その発生率をはっきりと低下させると証明できた方策は少なく、またそれを現場で徹底できるかどうかという課題も大きかった。今回,「早期離床バンドル」を導入して、理学・作業療法の強化のみならず、職員の意識(文化)を改めたこと、さらには持続可能な手法として有意な結果にまでつなげたことは、大きな評価に値すると考える。

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