病院廊下の真菌による空気汚染の 10 年間の調査:真菌曝露リスクを予測するための信頼できる指標は何か?
A 10-year survey of fungal aerocontamination in hospital corridors: a reliable sentinel to predict fungal exposure risk?
G. Reboux*, H. Gbaguidi-Haore, A.P. Bellanger, F. Demonmerot, K. Houdrouge, E. Deconinck, X. Bertrand, L. Millon
*University Hospital Jean Minjoz Besançon, France
Journal of Hospital Infection (2014) 87, 34-40
背景
侵襲性真菌感染症は、血液内科部門に入院中の高リスク患者にとって脅威である。フランスのガイドラインは、真菌による空気汚染のモニタリングを 3 か月ごとに行うことを推奨している。Besançon 大学病院では 2002 年以降、数棟を新築するなどの拡張が進められた。その結果、環境調査が強化され、現在は週 1 回の頻度で実施されている。
目的
真菌曝露と侵襲性真菌感染症リスクの評価指標として、血液内科部門の廊下および病院内の主廊下での真菌による空気汚染の測定の意義について、後向きに評価すること。
方法
血液内科部門の廊下と病院内の主廊下のそれぞれ同位置で、10 年間にわたって週 1 回、吸引による空気サンプル採取を行い、合計 2,706 件を調査した。すべての真菌の同定を行った。日和見菌種のレベルがピーク(> 40 コロニー形成単位/m3)に到達した場合、および予防措置を計画した場合には、血液内科部門と院内衛生部門に対して組織的に警告を行った。2007 年以降、フランス衛生当局に対して侵襲性アスペルギルス症の全症例を報告しいる。Cuzick 検定、Mann-Kendall 傾向検定、自己相関、および Spearman の順位相関検定を用いてデータの統計解析を行った。
結果
10 年間のサーベイランス期間中に、病院内の主廊下でアスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)のピークが 12 回認められ、血液内科部門の廊下では A. fumigatus 汚染が 1 年間で最大 6 回検出された。真菌曝露を抑制するために、換気システムと暖房の再点検、洗浄・消毒の強化、および明確な指示書の作成を行うことを決定した。
結論
A. fumigatus の検出と侵襲性アスペルギルス症との間に有意な関連は認められなかった。週 1 回の調査は、医療従事者の警戒心の向上に寄与した。それにもかかわらず、2007 年以降も 58 例の侵襲性アスペルギルス症が確認されている。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
設備は老朽化や周辺の改築工事などの影響も受けるため、アスペルギルス対策には総合的な視点が重要である。
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