ドールセラピー用の人形:患者間の交差汚染源か?★

2014.05.31

Empathy dolls: are they a source of cross-contamination between patients?


B. Subramanian*, H. Parsons, P. Finner, R. Townsend
*Sheffield Teaching Hospitals NHS Trust, UK
Journal of Hospital Infection (2014) 87, 50-53
イングランドの教育病院の高齢者整形外科病棟でウェルシュ菌(Clostridium perfringens)の同一株による人工関節感染症患者 2 例のクラスターが認められた後に、感染制御の実施状況に関して調査が行われた。その結果、認知症患者の興奮を軽減するためにドールセラピー用の人形が用いられていることが判明した。この人形は、感染予防・制御チームへの相談なしに導入されていた。種々の温度で洗浄する前後での人形の環境培養検査を実施し、存在する微生物の種類と数が明らかになった。この検査により、当病棟でドールセラピー用の人形の最適な汚染除去戦略および人形の安全な使用に関する指針を作成できた。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
標準予防策では小児科領域で使用される玩具については洗浄・消毒しやすいものを選択し、ふわふわした布製のぬいぐるみなどの患児間での共有は避けるよう推奨されている。
近年、高齢者の認知症患者のケアに人形を用いた「ドールセラピー」が注目されている。本論文ではウェルシュ菌による人工関節感染を発症した認知症患者 2 名が同じ人形を共有していたことから、その人形の管理方法を検討したもので、80℃で 10 分間の洗浄後は微生物は検出されなかったが、65℃で 10 分間の洗浄後では微生物が残存していた(特に腸球菌属)。著者らは今後、高齢認知症患者におけるこのような玩具の使用が増加することを予想し、その際には十分に院内感染対策に留意し、マニュアルを作成するよう呼びかけている。
なお 80℃で洗浄した場合、人形の髪質が変わってしまったことがさりげなく書かれており、その後どうなったのか、若干気になる結果ではあった。

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