黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対するポリヘキサニドの単独および抗菌薬併用の in vitro 活性
In-vitro activity of polyhexanide alone and in combination with antibiotics against Staphylococcus aureus
W. Fabry*, H.-J. Kock
*Universität Rostock, Germany
Journal of Hospital Infection (2014) 86, 68-72
背景
抗菌薬のみならず、生体消毒薬に対する黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の耐性も増加している。
目的
メチシリン感性黄色ブドウ球菌(meticillin-susceptible S. aureus;MSSA)およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant S. aureus;MRSA)の臨床分離株に対する消毒用ポリヘキサニドといくつかの抗菌薬の活性を調べること。ポリヘキサニドを単剤、または oxacillin、ペニシリン G、アンピシリン、セファゾリン、セフロキシム、イミペネム、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、ドキシサイクリン、レボフロキサシン、リネゾリド、およびバンコマイシンとの併用で評価した。
方法
MSSA 50 株および MRSA 50 株(バンコマイシン軽度耐性株 1 株を含む)の検査を行った。すべての菌株をパルスフィールド・ゲル電気泳動(PFGE)によりタイピングし、同一クローン株は検査対象から除外した。最小発育阻止濃度(MIC)および最小殺菌濃度(MBC)を、DIN 58940 に従った連続ブロス希釈法により測定した。ポリヘキサニドと種々の抗菌薬との併用を、チェッカーボード法を用いて調べた。
結果
ポリヘキサニドの MIC および MBC は、MSSA および MRSA のいずれも 0.5 から 2 mg/L の範囲であり、バンコマイシン軽度耐性株の MIC および MBC は 2 mg/L であった。いずれの分離株もポリヘキサニド感性と判定され、ポリヘキサニドと評価した抗菌薬との間に拮抗作用は認められなかった。一部の菌株に対して、ポリヘキサニドといくつかの静菌的抗菌薬(エリスロマイシン、ドキシサイクリン、およびリネゾリド)との間の相乗作用が認められた。
結論
ポリヘキサニドの単剤および抗菌薬との併用は、黄色ブドウ球菌に対する局所治療に適していると考えられた。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
ポリヘキサニドは、コンタクトレンズの洗浄保存剤としても使用されているクロルヘキシジンと同様のビグアナイド系の消毒薬である。ヒトへの安全性も確認され、創傷治癒効果も期待されている。本論文では、黄色ブドウ球菌に対する局所投与薬が、全身投与される抗菌薬に影響を及ぼさず、一部で相乗効果が認められている。ムピロシン耐性の MRSA に対する局所治療への代替薬として期待される。
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