医療施設の給水システムと緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)感染との関連:迅速システマティックレビュー

2014.01.30

Association between healthcare water systems and Pseudomonas aeruginosa infections: a rapid systematic review


H.P. Loveday*, J.A. Wilson, K. Kerr, R. Pitchers, J.T. Walker, J. Browne
*University of West London, UK
Journal of Hospital Infection (2014) 86, 7-15
背景
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)は日和見病原体であり、特に免疫低下患者の疾患の原因となる。給水システムは、医療環境での緑膿菌伝播に寄与していることが報告されている。
目的
医療環境の給水システムは緑膿菌感染と関連するというエビデンスを系統的に評価すること、給水システムがリザーバとして作用する可能性が高いデザイン形態について調査すること、および汚染を根絶し感染を予防するための戦略の有効性を比較すること。
方法
3 段階の検索戦略を用いた迅速レビュー法により、既報研究を特定した。また、科学アドバイザーが未公表の研究を特定した。
結果
該当する研究 25 件を評価対象とした。給水システムから患者へ、および患者から給水システムへの緑膿菌伝播を示す妥当なエビデンスが認められたが、正確な伝播様式を説明する直接的なエビデンスは得られなかった。2 件の研究からは、効果的な介入(採水口フィルタ設置および塩素消毒強化)についての妥当なエビデンスが得られた。緑膿菌バイオフィルム形成およびその後の患者への伝播のほぼ確実なリスク因子として、自動水栓および給水システムのデザイン構造が特定された。想定される寄与因子として、不良な手指衛生および接触予防策の遵守不良が特定されたが、これを確証する妥当なエビデンスは得られなかった。
結論
医療環境では給水システムが緑膿菌感染の原因となる可能性があるが、その伝播経路については不明である。汚染は給水システムの遠位末端に限定されていると考えられ、長期間持続する可能性がある。緑膿菌の伝播を予防し給水システムから根絶するための効果的な方法を確立するには、さらなる研究が必要である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
論文調査をすることで、どこまで調査・介入・改善が効果的にできるのかについて、医療環境の給水システムは緑膿菌感染と関連するという項目立てで調査した論文である。論文調査の結果、必ずしも満足のいく結果が導き出されるわけではないので過信は禁物である。

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