集中治療室の汚染された流し:患者環境での基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生腸内細菌科細菌の過小評価されている汚染源
Contaminated sinks in intensive care units: an underestimated source of extended-spectrum beta-lactamase-producing Enterobacteriaceae in the patient environment
D. Roux*, B. Aubier, H. Cochard, R. Quentin, N. van der Mee-Marquet, for the HAI Prevention Group of the Réseau des Hygiénistes du Centre
*Centre Hospitalier Universitaire, Tours, France
Journal of Hospital Infection (2013) 85, 106-111
背景
集中治療室(ICU)の汚染された手洗い用流しに関連する基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生腸内細菌科細菌によるアウトブレイクが報告されている。
目的
地域研究を実施し、ICU の 135 の病室の手洗い用流しが汚染源となり得るかどうかを評価すること、および流しの汚染リスク上昇に関連する因子を特定すること。
方法
13 の ICU で多施設共同研究を実施し、185 の流しの ESBL 産生腸内細菌科細菌による汚染の微生物学的検査を行った。分離微生物の解析を行い、randomly amplified polymorphic DNA(RAPD)法により ICU におけるクローン拡散を評価した。それぞれの流しの使用状況、流しに隣接する臨床環境の汚染に関与する可能性のある因子、および流しの日常的な清掃手順を記録し、データを収集した。
結果
57 の流し(31%)が ESBL 産生腸内細菌科細菌により汚染されており、その多くはクレブシエラ(Klebsiella)属菌(33 株)およびエンテロバクター(Enterobacter)属菌(18 株)であった。汚染率が高い 2 つの ICU では、流行性株のクローン拡散が示唆された。手洗い用流しが汚染されるリスク因子、および流しが汚染をもたらすリスク因子は高頻度で認められ、81 の流し(44%)は手洗いおよび体液廃棄の両方に用いられており、67 の流し(36%)では飛沫のリスクが認められ、このうち 23 の流しは ESBL 産生腸内細菌科細菌により汚染されていた。流しの日常的な消毒の実施頻度は高く(85%)、ほとんどが毎日実施しており(75%)、消毒薬として四級アンモニウム製剤(41%)または漂白剤(21%)が多く使用されていた。流しの汚染率が低いことは、流しを手洗い専用で使用していること、および流しの消毒を漂白剤を用いて連日行っていることと有意に関連していた。
結論
ICU では、汚染された流しは患者環境の ESBL 産生腸内細菌科細菌の汚染源となり得ると考えられ、ICU の職員はこの問題を過小評価している可能性がある。比較的簡易な方法によって、この状況の迅速な改善と、多剤耐性腸内細菌科細菌に対する ICU 患者の曝露リスクの大幅な低下がもたらされると考えられる。
サマリー原文(英語)はこちら
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