手術室内での滅菌器具の配置:一方向水平気流システムによる汚染保護性能の同等性または優越性

2013.10.30

Laying-up of sterile instruments in the operating theatre: equal or superior protection by using a horizontal unidirectional air flow system


A.A.L. Traversari*, C.A. Goedhart, E. Dusseldorp, A. Bode, F. Keuning, M.S.J. Pelk, M.C. Vos
*TNO Dutch Centre for Health Assets, Soesterberg, The Netherlands
Journal of Hospital Infection (2013) 85, 125-133
背景
手術室での滅菌器具の準備にあたって、一方向水平気流を用いたシステムは一方向下降気流システムと比較していくつかの利点がある。その利点として、システムの設置に関する柔軟性と簡便性や、気流の冷却が不要かつ循環空気量が少ないためエネルギーが節減できることなどが挙げられる。
目的
本研究の目的は、手術室での器具の配置プロセスにおける空気汚染(粒子および微生物が存在する状態)からの保護性能について、一方向水平気流システムは一方向下降気流システムと比較して同等性または優越性を示すかどうかを評価することである。
方法
2 種類の一方向水平気流システムと 2 種類の一方向下降気流システムの汚染保護性能を、手術室内の複数の静的レイアウトおよび配置プロセスの動作シミュレーション条件下で評価した。粒子サイズごとに汚染保護性能を評価し、さらにプロセスのシミュレーション時のコロニー形成単位(CFU)を測定した。
結果
最大レベルの汚染保護(粒子が全く存在しない状態)の達成に関しては、粒子径 2.5 μm 以上の場合は一方向水平気流システムのほうが一方向下降気流システムよりも有意に性能が良好であった。粒子が存在した場合の比較では、粒子径 0.3 μm 以上および 0.5 μm 以上の場合はシステム間に有意差はなかったが、典型的な細菌運搬粒子である 1.0 μm 以上の粒子での一方向水平気流システムの性能は、一方向下降気流システムよりも優れていた。プロセスの測定中にコロニー形成が認められない割合は、一方向下降気流システムの 64%に対して、一方向水平気流システムでは 90%であった(P = 0.012)。
結論
器具を配置する清浄域の汚染保護性能については、一方向水平気流システムは一方向下降気流システムと比較して同等性または優越性を示した。今回の結果は、常に統計学的有意差に到達するわけではなかったが(バックグラウンド濃度が低いことによる)、小さい粒子(≧ 1.0 μm)から、評価した最大サイズの粒子まで、細菌運搬粒子を含めて、水平気流システムの優越性を示す明確な傾向が認められた。正しい作業指示書が用意され、台の高さとプレナムの高さが適切に調整された場合には、一方向水平気流システムは一方向下降気流システムよりも強固な解決策をもたらす。
サマリー原文(英語)はこちら

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