小児における市中感染、医療関連感染、および病院感染による血流感染の定義:本システマティックレビューにより基準には一貫性が欠如していることが示された

2013.10.30

Community-acquired, healthcare-associated and hospital-acquired bloodstream infection definitions in children: a systematic review demonstrating inconsistent criteria


K.L. Henderson*, B. Müller-Pebody, A.P. Johnson, A. Wade, M. Sharland, R. Gilbert
*Public Health England, UK
Journal of Hospital Infection (2013) 85, 94-105
背景
歴史的に、細菌感染は市中感染または病院感染のいずれかに分類されてきた。しかし、すでにこの二分法は、病院と市中での管理を組み合わせて受ける患者に生じる医療関連感染のパターンを適切に反映するものではない。この変遷する疫学の解明を試みる研究においては、小児は対象外とされることが多い。
目的
小児の市中感染、医療関連感染、および病院感染による血流感染を区別するためにこれまで使用されていた基準を明らかにするとともに、全血流感染における、および原因微生物別にみた市中感染、医療関連感染、および病院感染の比率を明らかにすること。
方法
PubMed の公表文献、および英国保健省と米国疾病対策センター(CDC)のウェブサイトのシステマティックレビューを行った。
結果
23 件の研究およびウェブサイトから、使用されている基準には一貫性が欠如していることが判明した。市中感染および病院感染による血流感染の基準には、それぞれ 13 および 15 のバリエーションがみられたが、入院から 48 時間後のサンプル培養というカットオフ基準は多くの研究が報告していた。5 件の研究では、医療関連感染の定義として異なる臨床的基準を使用していた。9 件の研究の小児の市中感染による血流感染の比率は平均 50%であった。いずれかのタイプの感染が優勢にみられた血流感染の原因微生物は 5 件の研究の 4 種類のみであり、肺炎球菌およびサルモネラ(Salmonella)属菌は市中感染、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌およびエンテロコッカス(Enterococcus)属菌は病院感染のほうに多くみられたのに対して、シュードモナス(Pseudomonas)属菌、クレブシエラ(Klebsiella)属菌、およびエンテロバクター(Enterobacter)属菌はいずれかの感染カテゴリーに明確にあてはまるということはなかった。
結論
本研究により、小児の市中感染、医療関連感染、および病院感染による血流感染を区別するために使用される基準には一貫性が欠如していること、また基準がよりどころとすべきエビデンスが不足していることが判明した。これらの血流感染の基準を、患者の臨床的特性、最近の医療曝露、および分離微生物種を考慮した一般住民対象研究により作成する必要がある。
サマリー原文(英語)はこちら

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