人工呼吸器関連肺炎の予防のための口腔内汚染の局所的除去:ランダム化対照試験のシステマティックレビューとメタアナリシス
Oral topical decontamination for preventing ventilator-associated pneumonia: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials
J. Li*, D. Xie, A. Li, J. Yue
*Sichuan University, China
Journal of Hospital Infection (2013) 84, 283-293
背景
口腔内汚染除去は、人工呼吸器関連肺炎の効果的な予防法であるとされている。
目的
本研究の目的は、48 時間を超えて人工呼吸器を使用する成人患者における、口腔内汚染除去の効果を評価することである。
方法
48 時間を超える人工呼吸器の使用を要する何らかの成人患者集団を対象として、口腔内汚染の局所的除去と、プラセボ、生理食塩液、または標準的な口腔ケアとの比較を行っているすべてのランダム化対照試験を評価した。
結果
合計 2,399 例を対象とした 16 件の試験を評価した。メタアナリシスからは、人工呼吸器関連肺炎の発生率が口腔用の局所消毒薬によって有意に低下したことが示された(リスク比[RR]0.66、95%信頼区間[CI]0.49 ~ 0.88)。抗菌薬による汚染除去について調査した試験では、iseganan を除くと、人工呼吸器関連肺炎は有意に減少していた(RR 0.27、95%CI 0.18 ~ 0.42)。消毒薬と抗菌薬はいずれも、全原因死亡率、人工呼吸器装着期間、または集中治療室(ICU)入室期間に影響を及ぼしていなかった。
結論
口腔内汚染除去により、人工呼吸器を使用している成人の人工呼吸器関連肺炎の発生率が低下したが、人工呼吸器使用患者の全原因死亡率、人工呼吸器装着期間、または ICU 入室期間には影響を及ぼさなかった。質の高い試験からの、さらなるエビデンスが必要である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
人工呼吸器関連肺炎(VAP)の発生率が減少した論文で使用された抗菌薬は、アムホテリシン B・トブラマイシン・ポリミキシン E が配合されたペースト、あるいはゲンタマイシン、コリスチン、バンコマイシンであった。消毒薬では、0.12% ~ 0.2%クロルヘキシジングルコンサン塩含有の含嗽液やジェル、希釈したポピドンヨードが使用されていたが、いずれも死亡率などのアウトカムにはこれらを使用しない口腔ケアを上回る効果は見いだせなかった。抗菌薬や消毒薬に頼らず、丁寧な口腔ケアを実施することが VAP 発生の予防につながると再認識させられた。
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