人工呼吸器関連肺炎の予防における教育プログラムの有効性:システマティックレビュー★
Effectiveness of educational programmes in preventing ventilator-associated pneumonia: a systematic review
M. Jansson*, M. Kääriäinen, H. Kyngäs
*University of Oulu, Finland
Journal of Hospital Infection (2013) 84, 206-214
背景
人工呼吸器関連肺炎は、救急医療部門で最も高い頻度でみられるデバイス関連院内感染であり、これにより多くの疾患が引き起こされ、死亡率は 2 倍に増加し、医療費が増大する。これまでの研究からは、教育的介入がない場合は、集中治療室の看護師の人工呼吸器関連肺炎予防に関する知識は不十分であり、また人工呼吸器関連肺炎予防ガイドラインの遵守率が低いことが示されている。
目的
本研究の目的は、現在の研究の強化方法を明らかにするために、教育プログラムの有効性に関するこれまでの多くの文献を、特に学習および臨床的アウトカムに重点を置いて評価することである。
方法
7 種類の学際的データベース(Medline Ovid®、Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature、Cochrane Library、Scopus、Web of Science、Medic、および Academic Search Premier)に収載されている 2003 年から 2012 年に発表された研究のレビューを行った。情報専門家(information specialist)1 名との共同により、包括的な文献検索法を実施した。評価対象とする研究の選択は、客観的な基準に従って研究者 2 名が独立して行った。
結果
8 報の原著論文を最終的なレビュー対象とした。集中治療室(ICU)の職員に対する教育の強化により、知識レベルとガイドライン遵守率の有意な改善、臨床的アウトカムの有意な改善(すなわち、人工呼吸器関連肺炎の発生率の低下)、ICU 入室期間と入院期間の短縮、死亡率と費用の低下が得られた。
結論
教育には、患者の安全の向上と、その結果としてのケアの質改善という大きな有益性がある。複数回にわたる講義や人工呼吸器関連肺炎の定期的な調査を含む積極的な介入を実施することが有益であると考えられる。多施設ランダム化対照追跡研究をデザインするために、さらなる調査を行う必要がある。また、教育プログラムと臨床的アウトカムとの関連の評価をさらに推進するためには、汎用的なアウトカム測定法を開発する必要がある。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
ガイドラインの勧告を高い水準で遵守することにより、より高い感染予防効果が得られることがシステマティックレビューの結果からも示されている。こうなるとガイドラインそのものに寄せられる期待感も高まり、曖昧とされている領域でのさらなる質の高いエビデンスの創出が課題となる。
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