集中治療室における感染症の獲得:1997 年から 2010 年のベルギーにおける全国的サーベイランスの結果
Infections acquired in intensive care units: results of national surveillance in Belgium, 1997-2010
K. Mertens*, I. Morales, B. Catry
*Scientific Institute of Public Health, Belgium
Journal of Hospital Infection (2013) 84, 120-125
背景・目的
1997 年から 2010 年にベルギーで実施した、集中治療室(ICU)で獲得した感染症に関するサーベイランスの方法とその結果を報告すること。
方法
1997 年以降、ベルギーの急性期病院の ICU は、全国的な多施設前向き観察サーベイランスプログラムに参加することが連邦法により推奨されている。データ収集のためのプロトコールとソフトウェアツールが開発されており、症例定義と方法は欧州疾病対策センターのものに準拠している。
結果
2010 年には 18 の病院が、四半期を単位とした 59 の観察期間における、ICU の患者 6,478 例、52,593 患者日のデータを提供した。ICU 肺炎および挿管関連肺炎の平均発生率は、それぞれ 1,000 患者日あたり 13 および 12 であった。ICU 血流感染症、中心静脈カテーテル(CVC)関連血流感染症、および CVC 関連一次血流感染症の平均発生率は、それぞれ 1,000 患者日あたり 3.2、2.6、および 2.3 であった。1997 年から 2010 年にかけて、ICU 肺炎と ICU 血流感染症には安定的な傾向が、挿管関連肺炎および CVC 関連血流感染症には減少傾向が、CVC 関連一次血流感染症には安定的な傾向が認められた。
結論
ベルギーでは ICU 感染症の全国的サーベイランスによって、急性期病院で施設レベルでの感染症発生率の追跡が可能となっており、これにより全国および欧州の基準データとの比較ができるようになった。1997 年から 2010 年にかけて、ICU 感染症の発生率は上昇し、デバイス関連感染の発生率は低下した。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
ベルギーで実施された ICU 感染症サーベイランスの 1997 年から 2010 年の報告である。このような複数の施設、長期間にわたるデータは、途中での症例定義の変更、報告施設や施設数の変更がトレンドに影響を与えることがある。この論文では、1997 年の開始当初は 170 施設であったのが、2011 年には 116 施設に参加施設が減少していた。公衆衛生データを読み解く際には、このような点や制度の変更にも注意したい。
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