プロバイオティクス VSL#3 による抗菌薬関連下痢症の予防に関する二重盲検ランダム化プラセボ対照試験

2013.06.29

Probiotic VSL#3 prevents antibiotic-associated diarrhoea in a double-blind, randomized, placebo controlled clinical trial


C.P. Selinger*, A. Bell, A. Cairns, M. Lockett, S. Sebastian, N. Haslam
*Salford Royal Hospital NHS Foundation Trust, UK
Journal of Hospital Infection (2013) 84, 159-165
背景
抗菌薬関連下痢症は、抗菌薬全身投与の合併症として高頻度に認められ、その中でもクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)関連下痢症は有病率と死亡率から最も重大なものである。
目的
本試験の目的は、プロバイオティクス VSL#3 により、平均的リスクを有する入院患者の抗菌薬関連下痢症および C. difficile 関連下痢症が予防できるかどうかを調べることであった。
方法
抗菌薬全身投与を受ける成人入院患者を、今回の多施設ランダム化二重盲検プラセボ対照試験に登録した。抗菌薬投与コース中およびその後の 7 日間に、VSL#3 またはプラセボ 1 包を 1 日 2 回連日投与した。主要評価項目は抗菌薬関連下痢症および C. difficile 関連下痢症とした。
結果
実薬群(117 例)およびプラセボ群(112 例)の患者のベースライン時の人口統計学的データは均衡していた。C. difficile 関連下痢症症例は検出されなかった。抗菌薬関連下痢症発生率は、per protocol 解析では実薬群で有意に低かった(実薬群 0%、プラセボ群 11.4%、P = 0.006)。Intention-to-treat 解析では、抗菌薬関連下痢症発生率の両群間の差は有意ではなかった(実薬群 4.3%、プラセボ群 8.9%、P = 0.19)。
結論
VSL#3 により、抗菌薬全身投与を受けた平均的リスクを有する入院患者の抗菌薬関連下痢症の発生率が有意に低下する。C. difficile 関連下痢症の発生率は急激に低下しており、その症例は認められなかった。平均的リスクの入院患者の C. difficile 関連下痢症に対するプロバイオティクス予防投与は、適応とはならないと考えられる。
サマリー原文(英語)はこちら

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