院内滅菌部門の工程管理改善のための短時間判定用洗浄インジケータの導入★
Application of rapid read-out cleaning indicators for improved process control in hospital sterile services departments
P.G. Nugent*, T. Modi, N. McLeod, L.J. Bock, C. Smith, T.M. Poolman, R. Warburton, P. Meighan, P. Wells, J.M. Sutton
*Health Protection Agency-Porton Down, UK
Journal of Hospital Infection (2013) 84, 59-65
背景
洗浄の重要性が強く認識されるようになったことから、再利用可能な医療器材の自動汚染除去システムが注目されている。著者らは以前、院内滅菌部門の自動洗浄工程の定量的モニタリングのための熱安定性アデニル酸キナーゼ(tAK)を用いた酵素インジケータシステムについて報告している。
目的
種々の洗浄剤、種々の自動洗浄消毒器が使用される様々な滅菌部門で、日常的な洗浄工程に対する tAK インジケータを用いたモニタリングを評価すること。
方法
tAK 含有インジケータストリップおよび他の工業試験用インジケータストリップを、8 種類の自動洗浄消毒器の 5 回ずつの洗浄サイクルで洗浄した。衛生監視機器を tAK 検出用に仕様変更し、洗浄後の残存 tAK をルシフェラーゼ共役アッセイにより測定した。
結果
工業試験用インジケータでは、1 回を除いた全検査で洗浄は適切であると判定された。これらの検査では各工程の洗浄効果を判別することができなかった。一方、tAK インジケータでは、滅菌部門ごとの洗浄効果の相違を判別することができた。tAK インジケータを用いた本アッセイによる洗浄効果の検出下限値は、酵素除去量 > 5.69 log10 であった。
結論
これらの結果から、tAK インジケータは種々の病院環境間および各洗浄工程間の洗浄効果の相違を判別することが可能であり、自動洗浄工程の工程管理の改善に適していることが示唆された。毎日または毎週の検査にこの技術を用いることは、自動洗浄消毒器の洗浄効果の日常的な評価に有用であると考えられる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
熱安定性アデニル酸キナーゼ(tAK)を用いた酵素インジケータシステムのダイナミックレンジが非常に広いことを生かして、洗浄効果の指針とする可能性を示した論文である。ポイントは、その測定範囲とゆるやかなカーブを描く検量線という特徴を有したダイナミックレンジの広さであろう。
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